D'Angelo『Chicken Grease』
追悼、そしてドラムを行うに際し、異種の尊敬と影響を鑑みずにはいられないのがディアンジェロという存在だった。
兎にも角にもその独特なリズムとフローに衝撃を受け、何がどうなるとこのような音楽が作り出せるのか、それを最初に抱いたのがD'Angelo『Voodoo』という屈指の名盤。
今にして聴いても全く古びず、違和感が鮮明に蘇る。
この名盤については別で語るとして、今回追悼も兼ねかなりヘビーリスニングを繰り返しているのですが、アルバム内の『Chicken Grease』という楽曲を聴くとマザー2のサントラ『Battle Against a Weird Opponent』がどうしても浮かんで消えない。
リズムのもたり、電子音によるアクセント、70年代への憧憬を感じさせるようなサウンドのファンクネス、アプローチは互いに異なるものの、アナログとデジタルの接近による近似。
どことなく変、それでいて心地良くもある。
変則的な揺らぎとビートの融和がなぜか独特なパラレルワールドを感じさせられるわけですが、ルーツは似通ったブラックさを内包する。
ちなみに違いとして。
マザー2「Battle Against a Weird Opponent」(1994)
作曲:鈴木慶一・田中宏和
🔹参照している年代・スタイル
主に 1970年代のファンク〜サイケ期の音楽
特に次のような系譜を感じます:
Sly & The Family Stone
Parliament / Funkadelic(ジョージ・クリントン)
Herbie Hancock『Head Hunters』(1973)
Miles Davis『On the Corner』(1972)
🔹音楽的特徴
ウネるベースラインとクラビネット的サウンド → ファンク要素
不協和なブラス音+奇妙なスケール感 → サイケデリックな実験性
変拍子気味・循環構造のリズム → ゲーム内の「異様さ」を音で表現
テープコラージュ的な構成 → ブライアン・イーノや実験音楽的手法も混ざる
要するに、**“ブラック・ファンク+サイケ+実験音楽”**がベース。
当時のゲーム音楽としては異常に“黒い”サウンドを持っています。
ディアンジェロ「Chicken Grease」(2000)
プロデュース:ディアンジェロ & クエストラヴ(The Roots)
🔹参照している年代・スタイル
ズバリ 1970年代中期〜後期のファンク/ニューソウル
James Brown(ジェイムス・ブラウン)
Prince(80年代初期まで)
Funkadelic / Bootsy Collins
Curtis Mayfield, Marvin Gaye などのソウル系も影響大
🔹音楽的特徴
スネアとベースの“ポケット”=ズレたグルーヴ
E9などのファンクコード中心で、ブルース+ミクソリディアン的響き
ギターカッティングとフェンダーローズのレイヤー
生演奏をあえて揺らす録音哲学(クオンタイズ禁止)
つまり、ディアンジェロは70年代ファンクを現代(当時)のリズム感で再構築した存在。
「Chicken Grease」はその最たる例です。
マザー2のサントラが1994年制作で『Voodoo』が2000年ということを考えると、マザー2の異様な速さでのサウンドの取り入れ具合を感じさせますし、それだけ前衛的なサウンドのミックスも目を見張る。
それにしてもディアンジェロの楽曲はそうした要素以上の楽曲性が孕む、ある種の異質的心地良さ光る。
クエストラブとのコンビ、最高かよ。
では。
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