『American Football ”25 years special LP1 anniversary shows” 3/26 Zepp DiverCity Tokyo 』
究極にして至福の音楽体験。
曲を構成しているのがメロディや詩というよりも、"音"そのものが曲を構成しているとしか思えないような音像の魔力。
生で聴くからこそ伝わる音の豊かな広がりと充足に満ち足りる。
冒頭のアルペジオで始まった時から素晴らしい空間掌握力でした。
アルペジオであそこまで聴かせられるバンドというのも中々いない気がする。それくらいに贅沢なサウンドの極地。
映像のインスタレーションも楽曲の物語性、展開の予兆とシンクロし、曲の連なりがまるで物語のように紡がれていく。
建物を媒介にして音を構築する様はさながら”音の建築”と言っても過言でないほど、音の積み重ねによる構造が全面に押し出される。
流れている空気、感じられる景色、音と情景が一体となり、サウンドとしてそれらが繊細に表現される芸術。
練られた音の練度もさることながらそれを実際に体現するというのは言うほどに簡単でなく、むしろ、精密な機械的解釈無くして不可能なほどのセンスと技量が必要とされる。
過剰な要素を削ぎ落とした末に残るまことに洗練された音像のみを濾したような純度こそがアメフトの真骨頂。
なんなんでしょうね、この音が音を構成する連綿さ。
リズムの把握、メロディとの連動の難しさもある中、的確にそれらを合わせてくる感じ。
タイトで粒が立ち、それでいて心地良い。
基本的に高音ベースでの楽曲が多いのも特徴的で、繰り返されるメロディのループも非常に酩酊感があり堪らない。
音楽ならぬ、音を突き詰めた先にはこうした心地良さが残るのかと思うと、聴き始めた学生時代ですらそのことを理屈抜きに感覚として理解した自分を褒めてやりたい。
生で見れたということが忘れられない体験として残り、それにより楽曲を聴く際にも相乗効果をもたらす一助としても非常に忘れ難い体験となった気がする。
それにしてもファーストは抜きん出て楽曲の素晴らしさが光っていたな。これはひとえに自分の聴き込んだ青春の残り香を含んでいるからなのか否か。
いずれにせよ素晴らしいバンドですよ、アメフトは。
ちなみにセトリはこのような感じ。
ラストの”Never meant”で震えたのは言うまでもありません。
では。
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