本当に目を向けなければいけないことは
「パンズラビリンス」
メキシコ人の鬼才ギレルモ・デル・トロ監督によるダーク・ファンタジー。
1944年、フランコ独裁政権下のスペイン。冷酷で残忍な義父から逃れたいと願う少女オフェリアは、昆虫に姿を変えた妖精に導かれ、謎めいた迷宮へと足を踏み入れる。すると迷宮の守護神パンが現われ、オフェリアこそが魔法の王国のプリンセスに違いないと告げる。彼女は王国に帰るための3つの試練を受けることになり……。
やっぱり食わず嫌いは良くないですね。
何となく好きになれない映画監督や作品ってあると思うんですよ。ギレルモデルトロもその一人でした。
ただ現在公開中のシェイプオブウォーターは何故だか異様に観たい気分です。と思っていたところ、先日紹介したGYAOで「パンズラビリンス」がやっていた為、とりあえず観てみることに。
こちらは当然知っていたんですが、ファンタジックそうで何とも気が進まず観ておりませんでした。
観てみたら、メチャメチャ面白かったです。
監督がオタク、それでいて現実主義な為、現実と空想のバランスというか見せ方が非常に上手い。
細部への作り込みも素晴らしいし、映像も綺麗で映像作品としての完成度が非常に高いと感じました。
ファンタジックなのに出てくる人間以外のキャラクターはどことなくグロテスクだし、起きることもかなりエグイ。でもそのバランスが個人的にはかなり好きで、リアルにすら感じます。本当の妖精も空想も思っている以上に綺麗じゃないのかもしれない、そんなことを思わされます。
ちなみにペイルマンは衝撃的でかなり好きなキャラクターになりました。
冒頭で主人公の女の子オフェリアが家政婦?であるメルセデスに「妖精を信じる?」と問いかけるシーンがあるのですが、これに対しての返しも至極まっとうな大人の意見。これが現実の全てを示し、本作の全てを示している気すらします。
自分自身も以前はそうだった、世界への夢や憧れ。それから年を取り、知ってゆく現実の厳しさ。夢を見ることは悪いことじゃないとわかっているのに見えてしまうのは現実世界の残酷さ。
ただ本作の面白いところが、この空想に関しても純粋な夢見心地で終わらせるのではなく、そこまで良いものでは無いのかもしれないという視点で見せてくれること。これが肝な気がします。
実はオルフェオが一番現実を理解しており、空想にすがっていた。それでも最後には向き合わなければいけない現実に向き合いあのラストを迎える。そう考えると少女ながら尊敬します。
とにかく掘れば掘るほど気になる作品ってところがオタク気質な監督故でしょうね。このタイミングでこんな面白そうな本も出るそうで。
ギレルモ・デル・トロのパンズ・ラビリンス クリーチャー制作の裏側に迫る(仮)
- 作者: マーク・コッタ・バズ,阿部清美,富永晶子
- 出版社/メーカー: DU BOOKS
- 発売日: 2018/03/23
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
シェイプオブウォーターも近々観に行くので一層楽しみになりました。