「後期ジブリの集大成!『君たちはどう生きるか』が魅せるリアル志向ファンタジー」
宮崎駿監督が「風立ちぬ」以来10年ぶりに手がける長編アニメーション作品。
「千と千尋の神隠し」で当時の国内最高興行収入記録を樹立し、ベルリン国際映画祭でアニメーション作品で初となる金熊賞、ならびに米アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞。
同作のほかにも「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」「ハウルの動く城」などスタジオジブリで数々の名作を世に送り出し、名実ともに日本を代表する映画監督の宮崎駿。
2013年公開の「風立ちぬ」を最後に長編作品から退くことを表明した同監督が、引退を撤回して挑んだ長編作品。
宮崎監督が原作・脚本も務めたオリジナルストーリーとなり、タイトルは、宮崎監督が少年時代に読み、感動したという吉野源三郎の著書「君たちはどう生きるか」から借りたものとなっている。
正直率直な感想はわからない。これにしかない。
ジブリってざっくり分けると前期のファンタジー要素強めな時期と後期のリアル志向ファンタジー乗せの時期に分かれてると思っていて、その意味での本作は後期集大成感があった気がする。
ただ控えめに言ってわからないんですよ。
冒頭のオープニングから怒涛の動的フェーズには引き込まれつつ、なんか違和感あるなと思いながら、帰宅後に調べてみると、作画監督に本田雄さんが関わっていたんですね。
本田さんといえば「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に参加していたり、「ふしぎの海のナディア」「電脳コイル」など少々エッジの効いたものばかり。ジブリにしてはエッジが効いた画作りだなと思ったんですよね。
シーンごとで観ると、いい感じにマッチしてた気がしますね。あの世界観と。
序盤以外だと青鷺とのバトルシーンだったり。動的な描き方に出ていた感じ。躍動感あったし、ちょっと怖さも感じるほど臨場感があった気がします。その意味で言うと、ホラー味というのも本田さんの影響なんですかね。以前からもジブリに多少はあった気がするんですが、ここまでではなかったような。
なんか心底ゾッとするような感じ。気持ち悪さもあって、何がってわけじゃないんだけど、なんか感触として気持ち悪いんだよなという、グロテスクさみたいなものを感じた。森を抜けて建物に入る時の雰囲気とか、電気がついていく感じとか、カエルやらが主人公に纏わりつくところとか。
ただ、不思議だったのが冒険のワクワク感みたいなものはほとんど感じなかったんですよね。ダークファンタジーに近いというか、内的でカオスな印象。故にわからないみたいな。
アニメーションとしての心地良さは当然のようにあったし、ジブリならではの世界観も当然あったんですよ。でもそこまで乗れる感じではなかったというのが正直なところ。
まぁあくまでも初見の感想なんですけど、思ったよりヘビーでダークだなというのがファーストインプレッション。
キャラに関してもちょっと弱かったような。個人的にヒミのキャラは好きだったし、青鷺も良かった。でも、それも総じて弱いというか、印象として濃くは無いんですよね。もう少し何かあっても良かったかなと。これも感覚的なところでしか無いから個別でみると結構フォーカスされていたとは思うんですけど。
それらも含め、あくまでも観念的なテーマ性だと考えると、諸々のカオスさもごった煮にして表現したのかなともいえるんでしょうけど。
相変わらずだなと思ったのは母親というものに対してのあり方。
理想というか、憧れがモロに出ていた気がして、そりゃ、万能すぎるでしょと思うような人物描写。まぁ、他作を見てもそうですし、仕方が無いところもあるんでしょうけど、今回は作品の重さと相まって、より際立つというか。風立ちぬ以上ですね。個人的な体感としては。
それらを踏まえ、一言で言うならば「カオス」。
個人的にはジブリ作品の良し悪しってフィーリングだと思っているので、どの作品が自分にとって響いたかだけがすべてで、深堀はその作品だけすればいいと思っているたちなので、本作はその感じからは漏れた気がしちゃっています。数年後に見ればまた印象も変わるのかもしれないんですけどね。
でもジブリとしての世界観を久々に映画館で観れたのはやはり楽しめたわけで、良き映画時間でした。
では。