あの作品を思い出すといえばそれはあるけど。
「ジブリらしいワクワク感とカタルシスの掃除作業『コクリコ坂から』」
「なかよし」(講談社刊)に連載された高橋千鶴・佐山哲郎による少女漫画をスタジオジブリが映画化。
宮崎駿が企画・脚本、「ゲド戦記」の宮崎吾朗が同作以来5年ぶりに手がける監督第2作。
1963年の横浜、港の見える丘にあるコクリコ荘に暮らす16歳の少女・海は毎朝、船乗りの父に教わった信号旗を海に向かって揚げていた。
ある日、海は高校の文化部部室の建物、通称「カルチェラタン」の取り壊しに反対する学生たちの運動に巻き込まれ、そこで1学年上の新聞部の少年・俊と出会う。2人は徐々にひかれあっていくが……。
正直なことをいえば『耳をすませば』を思い出すといえばそれは否めないんですが、それでも個人的には結構好きなテイストなんですよね。まあ『耳をすませば』が好きというのもありますが。
画的なインパクトであるとかアニメーションなんかも全然悪く無いと思うし、カルチェラタンの雰囲気なんかも良い感じ。
天井の高さや物で溢れかえった表現がワクワクしますよね。
雑多な雰囲気と活気ある感じもジブリらしい演出ですし、海たちが住む所との対比も含めて悪くない。
迫ってくるようなアニメーションや過ぎ去っていくアニメーションも中々雰囲気ありましたし、人物描写も良く出来てる。
坂を媒介にした坂下、坂上という高低差演出はもう少し色々出来たのかなとも思うし、全員良い人でハッピーエンドというのも少し違和感があったものの、全体としてみればワクワク感あるジブリらしい作り込み。
カルチェラタンのなんやかんやだけで満足度は高かったというのがあるからだとは思いますが、なんかジブリの距離感というか、雑多感というか、詰め込まれたような情報の心地良さみたいなものがあれば個人的にはオッケーなわけで、その意味では全然楽しめました。
カタルシスの消化と物語上の進行を掃除というものに集約し、その作業自体を楽しめる雰囲気で見せたところも良いなと思っていて、複雑にし過ぎず、シンプルに整理整頓する。まさに掃除のそれそのものを全体に引っ張りこむところも好感できますね。
長澤まさみの声も良くて、芯のある女性を感じるあのトーンは海のイメージと見事に合っていた気がします。
逆に耳をすませばを見直したくなったのでそれも追々観ようかと思います。
では。