初期衝動に震えた。
『音楽』
ドレスコーズが歌う「ピーター・アイヴァース」が主題歌に 坂本慎太郎・岡村靖幸らが声優担当 アニメーション映画『音楽』予告
久々に独特なテンポを体験した気がします。
漫画原作かつ、カルト的な本作の映画化。全て描き下ろしでの映画化というのも恐ろしいことです。
本作でまず感じるのがやっぱり独特な間合いなんですね。人が喋る、人が動くということに関して、不自然なほどな間が空くことで、妙な距離感が生まれて、そこから引き込まれてしまう。
その感覚も独特で心地良く、それでいて物事がシンプルに伝わってくる。
映画本来の情報量と違って、ワンシーンでの情報量が少ないが故にダイレクトに入ってくる。
本作でテーマにしていることは音楽ですが、正直その対象は何でも良い気がしてしまう。大体何かする際の動機やキッカケなんて大したものじゃないし、ちょっとした好奇心から始まるもの。
それがやっていくうちにどんどんと真剣に、真面目になっていってしまう。それを本作のけんじはいとも簡単にあっさりと捨て去ってくれる。
それがやけにスカッとするし、忘れていた何かに気付かせてくれる気がした。
あやに言われる「バンド頑張ってね」に対して「何を頑張るんだ」と返し、ライブに向かう道中で自分の楽器を最も簡単に壊し、捨てる。
何もかもが規格外だけど一貫してる。そう、けんじはやりたいように感じた通りに動いているだけ。
そんな原点を見せてくれた点に本作の評判は集約されているんだと思う。
3人で最初に楽器を鳴らした時の気持ち良さ。ああいう感覚は何ものにも変えがたい体験なんだと改めて思った。
そうしたことを少ない言葉、音、映像で観せてくれた本作にはハッとさせられた。原作を買って読んでからもう一度原点に立ち返ろうと思う。