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探幽訪真:深く、自由に、偏りなく潜る

『Chronology』が夏に聴きたくなる理由は、レゲエだからではない

『Chronology』 by Chronixx

CHRONOLOGY

CHRONOLOGY

  • Soul Circle Music
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レゲエという音楽を愛する決定的な機縁となり、夏が訪れると無性に繙きたくなる、私にとって至高の名盤。

クロニクスが紡ぎ出す音は、どの楽曲を切り取ってもテクスチャーが極めて心地よく、その心地よさが全編を貫いている。

主因として、まず彼の天賦のボーカルが放つクリアネスは外せないが、同時に彼のお国柄が宿す、根源的な明るさもまた、このアルバムに豊かな色彩を付与している。

全体を支えるのは、小太鼓とハイハットが放つ硬質な金属音の対比が生む、絶妙なハーモニー。そこに深く沈み込むグルービーなベースラインが並走し、えも言われぬ充足をもたらしてくれる。

単なるルーツ・レゲエの枠に留まらず、別ジャンルと幸福に越境し合うミックスセンスも相変わらず素晴らしい。

M5のハイハットが見せる金属的な心地よさ。 そこから続くM6の、小気味よいスネアと弾むようなリズムは、聴き手を容赦なく真夏の太陽のもとへと誘い出す。 まさに夏のアンセムと呼ぶにふさわしいM7は、どこまでも広がる青空の下でこそ享受したくなる。

M9のイントロにおける拍の乗せ方は、オリエンタルなリズムと実に見事な親和性を見せる。涼しげで滑らかに流れるようなビートには、圧倒的な才気を感じるほかない。バスドラムの低くくぐもった響きも、音のテクスチャーとして最高のアクセントになっている。

 一転してM11では、彼の声が持つ透き通ったトーンと、クリアネスな魅力がこの上なく純粋に引き出されている。

面白いのが、リズムに対する乗り方の多様性にも表れる。 前乗り、ジャスト、あるいは後ろ乗りといった、バスドラムが打ち込まれる位置の微細なズレ。こうしたタイミングの揺らぎが楽曲ごとに精緻にコントロールされ、アルバム全体に飽きさせない美的なバランスを付与している。

M14における、オリエンタルな木管楽器のループも実に良い。 ハミングから幕を開けるM15は、まるで肌を撫でる涼やかな風を感じる。そこに確かなドラムとベースラインが加わり、至福の余韻がどこまでも続いていく。

ラストを飾るM16は、グルービーなサウンドとクリアネスの高いソウルフルな歌声が融合し、聴き手を無条件にハッピーな劇的空間へと連れ去ってくれる。

後半にかけて楽曲のスケールが大きさを増していくにつれ、こちらの心も朗らかに開かれていく。

混沌とした日々に、ひとときの心地よい風と、燦々たる太陽の光をもたらしてくれる名盤。

では。

 

探幽:レゲエの芽生え、ここにあり

 

Chronixxを聴いていると、その軽やかなハイハットや深く沈むベースのさらに向こう側に、スカやロック・ステディ、ダブ、ダンスホールへと連なる長い時間が横たわっているように感じる。『Chronology』をきっかけに、その時間まで遡ってみたくなったときに開きたい一冊。