『フードコートで、また明日。』

一見優等生で深窓の令嬢、話しかけ難い雰囲気を醸し出す和田。 金髪に日焼けした肌、ギャルのような見た目で周りから怖がられる山本。
それぞれ違う学校に通い、ひとりきりで過ごす二人。 そんな二人が毎日の放課後、フードコートで出会う時だけは、お互いしか知らない表情を見せるのです。
日常風景が垣間見えるようでいてほとんど垣間見えない。
フードコートでの日常を通して見えてくる女子高生たちのほのぼのライフ。いや、ただの駄話か。
年を重ねると日々の流れが一層早く、たまにはゆったりとした日常、会話が恋しくなる時もある。
日常系というのは以前から系譜があるもので、洋画でも、邦画でも、アニメでも漫画でもそう。でも、本作と似たような作品として真っ先に浮かんでくるのは『セトウツミ』でしょうか。
日常の他愛無い学生による会話劇。
学生時代というのは兎角時間はあるもので、それを認識するのは大人になってからという皮肉なもの。
今となってはのかけがえ無い時間を通し、一見すると無駄に感じるような時を過ごすというのが実は最高の贅沢だったと気付かされる。
金髪ギャルに優等生、タイプも性格も異なる二人による全く無駄にして、楽しめる会話諸々。
話の端々から関係のある人物も少しだけ交え、日々考える些細な悩みや考えを共有していく。
その中にも意外な真実や核心的なことが含まれているのがスパイスとして効いており、単なる駄話に気付きを得ることも。
ただ、こうした作品の本文というのはそういった気付きや学びなどというものでなく、”ただ楽しいから話している”という空気を共有することこそが重要なのでは。
それこそが至福。
どうでもいいことを話せる間柄、どうでもいいことを話せる時間、どうでもいいことを話せる場所。
ただそれがあるだけで良いんですよ。
学生の頃は世界が狭い。社会人になると世界が広がり、関係性の薄い、幅広い人たちとも普通のコミュニケーションは取れるようになる。
それにより軽薄なコミュニケーションに終始することに慣れてしまい、表面上の会話しか出来なくなってしまいがちなんですよね。
それがやるせなく、そして歯がゆい。
だからこそ、こういう異なるタイプ同士が他愛も無く盛り上がれる魅力。その”時”こそが重要で、欲してしまうというのもまた深層心理を刺激されているのでしょう。
どうでもいいことって意外に重要。忙しき日々の緩衝材として、ゆるりと楽しむのも今の気分にハマりがちです。
では。

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