Blcrackreverse

探幽訪真:深く、自由に、偏りなく潜る

Blcrackreverse ロゴ - カルチャーブログ Blcrackreverse - カルチャー・映画・音楽・ファッションを扱うブログ

『ガンズ・アンド・キラーズ』感想|西部劇×ファッション×親子の宿命、95分の美学

『ガンズ・アンド・キラーズ』

 

ニコラス・ケイジが主演を務めた西部劇アクション。

かつて凄腕のガンマンとして名を馳せたブリッグスは、現在は家族と雑貨店を営みながら平穏に暮らしていた。ところがある日、妻が無法者たちに殺されてしまう。復讐を果たすべく再び銃を手にしたブリッグスは、12歳の娘とともに凶悪武装集団に立ち向かう。

主人公の娘役に「ブラック・ウィドウ」のライアン・キーラ・アームストロング。「アクト・オブ・バイオレンス」のブレット・ドノフーが監督を務めた。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2023」上映作品。

なんとなくニコラス・ケイジ観たさでの鑑賞。

大作に出るニコケイも好きなんですが、個人的に変な役をやってほしいと思ってしまうのが彼の魅力。

西部劇とニコケイ、どういった仕立てになっているのかと思って観だしたわけなんですが、これが予想以上に面白かった。

西部劇、娘とのバディ、伝説の殺し屋、要素は揃っている。

冒頭から、乾いたルックに、妙に色のトーンが心地良い画作り。この時点で良作の予感。

ありがちなシーンに始まり、銃撃戦のキレもシャープ、とにかくサクッとある程度の内容が把握できるテンポの良さ。

そこから20年という月日が飛ぶわけですが、そこからのシーンの壮大で、抜けの良い風景はスカッと晴れるような爽快さを纏う。

映画における画のルックが好みというのは非常に重要なところで、あくまでも万人にどうこうでなく、自分が好きかどうか、それがメチャクチャ重要。

その意味でのこのカラーグレーディング、清々しさは今の気分に合っていた。

牧歌的な画に重なるファンタジー風味のサントラも相性が良く、観ていて心洗われる。音のエフェクトの入り方なんかも良いんですよね。歪みと奥行きを持ったサウンドになっており、広がる風景と涼感を伴ってシンクロする感じ。

あの超絶癒やされるシーンと、激クール、ニコケイの対比がエグいのなんのって。

そして出てくる娘が可愛過ぎる。

調べるとライアン・キーラ・アームストロングという女優さんで当時11歳。

演技に関してもニコケイとの血縁を感じる(劇中でね)冷めざめした表情が印象的で、あの淡々とした役柄を良く演じたものです。

ビジュアルもさることながらその着こなし。

登場序盤こそ高貴なる着こなしですが、そこからすぐにカウボーイルックに変身。それ以前のお嬢様的なるルックも格の違いをひと目で感じるセンスの良さ。

The Old Way (2023)

そして父と復習のために出発し、そこからはカウボーイルックに。

この可愛さはどうなっちゃっているのでしょうとしか思えないような透明感。

色のトーンが柔和に纏められ、すべてがオーバーサイズなのに、ハットはジャストで引き締まり、首元のネイビースカーフが全体を締める。腰元のブラウンベルトがいい感じに全体を調和して・・・という抜群のコーデ。というか着こなし。

それまでちょっと真面目を装っていたニコケイも本領発揮の原点ルック。

ニコケイも振り幅あるんですけど、このやさぐれた風貌が抜群に似合っている。

The Old Way - Movie Review - The Austin Chronicle

西部劇ってこうしたルックの格好良さもあって、真似できる出来ないは置いといて、絶対的にカッコいいというのも見所なんですよね。

このトップが平らなハットがツボで、この冬一つは欲しいところ。Photo du film The Old Way - Photo 8 sur 10 - AlloCiné

とまあそんなルックのところばかりでもあれなのですが、95分の中でかなりテンポ良く纏まっていたんじゃないでしょうか。

もう少し西部劇らしい人間の側面や内面に入り込んだような余韻、余白の部分で語る伸びしろといった部分もあって良かったとは思いますが、逆にそうしたものを削いで、淡々と展開させたのはこれはこれで良いですよ。潔い。

見せ場となる箇所や、物語を補完させるシーンも入ってはいますし、長々とやられるよりはこれくらいの方が見やすい。

何より、ニコケイにしろライアンにしろ、表情や目で語るのが上手いし、状況や心情を伝えるのが抜群に上手い。

これにより、西部劇にありがちな、多くを語らずともわかってるよ感。これが伝わってくるのがなおのこと良い。

あと、敵キャラのネーミングセンスが良い。

これも重要ポイントで、雑魚そう過ぎても駄目だし、一人だけカッコよくても駄目というバランス。

漫画とかも同様で、そのチームとしてのネーミングバランスって重要なんですよね。ビッグマイクとかブーツというネーミングが特にヤラレましたね。

そういう全体のバランスが、悪くないんですよ。

関係性においてもそう、序盤から親子のいびつな雰囲気が漂い、この二人で大丈夫なのかと少々不安なところもあったのですが、それもなぜそうした関係なのかは語られず。それでも輪郭を帯びてくる構成もお見事。

娘と自分が血の通った似たものであるという宿命と、だからこそ本当に信じ、身を挺することが出来るという意味。

西部劇らしい空虚さとカラッとしたドライな展開も親子ものと相性が良く、Dry is better、それが良さに変わる瞬間もあるよねという、根っこの部分での繋がりと生き様を観た気がします。

残暑、西部劇、美しい風景、以上

では。