『キャドー湖の失踪』

ある日、8歳の少女がキャドー湖で謎の失踪を遂げる。母の死の真相を探っていたパリスと、失踪した少女を探すエリーは、それぞれ引き寄せられるように湖の奥へと進んで行く。この地に隠された秘密と、事件の真実とはいったい何なのか…。
U-NEXT配信映画、シャマラン制作ということで観てみたのですが、シャマラン節を丁寧に咀嚼したような映画となっており、中々に面白い。
意外だったのがそのファッション性で、パリスとエリーが世界観を表現しつつ、バックボーンというか、その土地柄なども表現した着こなしをしており、地味ながらダサカッコイイ。
エリーのシンプルな無地Tに短めのネックレス、これも金属でないのが良い。そこに色の褪せたデニムを合わせ、ラフにチェックのシャツを羽織る。
この配色センスと、テイストの馴染みがツボ。

そしてクリスはグリーンを基調としたTシャツ選びが映画全体の配色、生活環境との親和性が高いコーデ。
濃い緑色のTシャツに7分のサーマルの合わせがカッコいい。

さらに序盤でのカーキTにデニムセットアップの合わせ、これにキャップを被るワークテイストの感じも良い。
全体的にワークやカントリーといった粗野な感じが全員に漂っており、それをスタイルとしてさらっと見せる、この生活に馴染むスタイルの感じが良いんですよね。
ちょっと冒頭から話が逸れましたが、本編に戻ります。
湖、というか湿地帯、沼地といったような場所が舞台となっており、そこで起きる相変わらずのカオス的な展開なわけですが、その根幹にあるのが”タイムループ”という概念。
シャマランとタイムループの相性が悪いわけもなく、どういった味付けでそれを仕上げるのかと思っていたのですが、103分という決して長い時間でもない中、非常に良く練られているなと。
主人公らしき人物が2人おり、それらの視点から物語が進むという構成で、冒頭からの伏線回収、ラストへの怒涛の紐解きが痛快であり難解。
なんとなくの理解は頭の中で繋がるものの、その実、具体的な画を初見で描ける人はそういないのではないでしょうか。
ただし、その”なんとなくわかる”ということだけでもわかるような映画の軸にあるシンプルな構成に助けれらますし、難解な部分もシャマランらしい仕掛けが観られ、非常に鑑賞後の感覚が気持ち良い。
舞台となるキャドー湖ですが、これが実際に存在するのですね。
キャドー湖(Caddo Lake)は、アメリカ・テキサス州とルイジアナ州の境界に位置する湖で、神秘的な風景が特徴です。
湖にはスペイン苔が垂れ下がるヌマスギの森が広がり、幻想的な雰囲気を醸し出しています。元々は自然の湖でしたが、19世紀の地震で地形が変わり、現在の形になりました。野生生物が豊富で、ボートツアーや釣りが人気の観光スポットです。
このなんとも言えない禍々しさと神秘性を帯びたような雰囲気、湿地帯のようなこうした雰囲気にミステリアスな要素を感じるというのは個人的にもあることで、あの幻想性は時を忘れさせる何かがありますよね。
そしてサムネイルの画にもあるようなボートの様子。
こうした場面を観るとディズニーランドにあるジャングルクルーズを思い出さずにはいられないというのは私だけでしょうが、それによる原体験的なワクワク感や冒険心を刺激されるというのも多分にある気がするんですよね。
なぜだか伴うワクワク感、併せて絡みつくようなストーリーの怪奇、複雑性。家族というものを一貫して描いているシャマラン独自の視点によるタイムループもの。
鑑賞後に人間関係、時系列などを考えてみるといっそう楽しめる作品になっているのではないでしょうか。
では。