2025年1月16日。デヴィッド・リンチ死去。
リンチ追悼から作品を観返しているわけですが、作品を観れば観るほど、それっぽい風景を切り取りたくなる。
そんなわけで都内近郊で行ったことがなく、路線図を見て気になった”田園調布”へ。
通過することはあれど、降り立ったことはない駅、田園調布。特段目的地に固執することも無いので、とりあえず降り立ちました。
日時は2025年2月22日。
スタートからリンチと言えばコーヒーでしょということで気になった駅前のこちらから。
チェリーパイもドーナツも無かったのが悔やまれますが、友人はガレット、私はブルーベリーマフィンとコーヒーをいただく。
店内も広めで2F部も広く、暖かければテラス席もあるので中々良いですね。というか駅前にほとんどカフェが見当たらないわけですが。
ちなみに田園調布駅に決めた理由として高級住宅街ということと駅前の整備された扇形の街並みに惹かれたわけですが、その部分をさらっと。
田園調布の計画的な街づくりは、実業家の渋沢栄一と地主の大川平三郎が中心となって構想したものです。1918年(大正7年)に渋沢栄一が会長を務めた「田園都市株式会社」が設立され、イギリスの田園都市運動に影響を受けた理想的な郊外住宅地として開発が進められました。
この開発は、当時欧米で流行していた「ガーデンシティ(田園都市)」の思想を日本に取り入れたもので、道路は放射状・同心円状に配置され、ゆとりある区画と豊かな緑地を特徴としていました。設計には、当時の一流の建築家や都市計画家が関わり、美しい景観と快適な住環境を両立させる工夫がなされました。
この計画的な街づくりによって、田園調布は日本を代表する高級住宅地として発展し、現在に至るまでその特徴的な街並みが維持されています。
というわけで”不穏さ”と”日常的非日常”に満ちたスナップを。
駅前に佇む不穏な影。
無機質な金属サインと腐敗した壁面の対比が妙にリンチ的。
その後病院の名残を残したような雰囲気を覗き見るような怪しげな雰囲気。
貯水場だったか、入口の堅牢なイメージと中にある人気の無い建物が印象的。
丸太おばさんを想起させるような。ダークトーンに落とし込み、より深みのある木材のニュアンスを引き出す。
そこから謎の住宅街に遭遇したのですが、まるで作られたかのような趣。
人がいるのか否かということもありますが、完全に佇まいはセットを思わせる。
調べるとどうやら以下のような物件らしい。
田園調布のシダークリーク(Cedar Creek Community、略称:3C)は、ボウクス株式会社が開発したタウンハウス式の欧米型住宅地です。以下にその特徴をまとめました。
特徴
- アメリカの都心部でよく見られる「タウンハウススタイル」を採用。これは、戸建て住宅を複数棟連結して建築するスタイルで、隣り合う住戸と構造壁を共有しています。
- 田園調布の歴史や環境に由来する3つの「C」(Cedar=杉、Creek=渓谷、Community=コミュニティ)をコンセプトにしています。
- 欧米型のデザインと、住民同士の協力や共生を重視するコミュニティ形成を目指しています。
- 各戸にビルトインガレージが1台分設置されています。
物件情報
- 総戸数:8戸
- 間取り:2LDK~4LDK
- 販売価格:9,980万円~14,270万円
- 竣工時期:2024年7月4日
その他
それにしても雰囲気が不気味過ぎる。
暮らしているというよりも暮らさせられているというような感覚。住み易そうだなと思う反面、住宅街に突如現れる謎のコミュニティ感、そんな光景に圧倒される。
造花が植えられているというのもいっそう人工感を助長し、彩を添える。
この辺の作られた日常というのもリンチ作品に欠かせない。
サインを中心に据えた構図が対照的なバランスに、不均衡な街並みと絶妙にマッチする。
ハイキー目に撮った造花も悪くない。というかむしろその不気味さも良い。
ちなみにこの住宅街、満室らしい。だが、営みの色は見られない。
そこから一旦駅へ戻り、また別の角度へ向かいます。
つづく。