出会いがあるから古着のDigはやめられない。
今回はこちら
『フランス軍のモーターサイクルオーバーパンツM35』
comoriなど、サンプリングソースとしても人気のあるこのパンツ。
ベルトとパンツが一体化されており、それらが共地になっている仕様で、その存在感が半端じゃない。
生地の重厚感によるところも大きいとは思いますが、物としての佇まいが風格あるんですよね。
とまあ存在自体は知っていたんですが、中々値段も高騰してきており、しかもベストなサイズ感のものに出会わなかったんです。
それが出会ってしまうとは。
まず、カラーに関してですが、通常であればカーキを採用している。それが後染めによりブラックになっている。
これにより合わせやすくなりますし、無骨な生地感と相まってよりタフでルーズな印象になるんですよね。
ボタンの縫い糸を見るとネイビーになっていることもあり、後染めしているのでしょう。それにしても染め方が上手いなと思うのは確実にその手の人が意図してやっているはず。
ここでフランス軍のモーターサイクルパンツについて補足として。
M35とM38、いわゆる前期と後期があるわけですが、その辺の比較を。
フランス軍モーターサイクルオーバーパンツ:M35 vs M38 比較表
項目 | M35 | M38 |
---|---|---|
採用時期 | 1935年 | 1938年 |
背景 | 第二次大戦前のモーターサイクル部隊用、防寒・防風重視。 | 第二次大戦直前、防寒性と耐久性を改良。 |
素材 | 厚手コットンツイル、オイルド加工あり。 | 改良コットンギャバジン、撥水加工あり、柔らかい手触り。 |
ポケット | フロントポケット | フラップポケットのサイズ拡大、ポケット数も増加。 |
ウエスト調整 | サスペンダー装着を前提、シンプルな調整ストラップ。 | ベルトループ追加、金属バックルで細かな調整が可能。 |
縫製 | シングルステッチ、無骨でシンプル。 | ダブルステッチ、耐久性とデザイン性向上。 |
シルエット | ワイドで無骨な印象。 | ややテーパードが効き、洗練されたシルエット。 |
防寒性・実用性 | 極寒地や雨風への対策として優れる。 | より実用的な設計、防寒性・防水性も向上。 |
ファッション性 | クラシックなヴィンテージスタイル。 | モダンでスタイリッシュな印象も兼備。 |
エイジングの魅力 | 使用とともに深い味わいが出るザラついた質感。 | 滑らかな素材の経年変化が楽しめる。 |
とまあこんな感じではあるんですが、個人的には前期の方がフロントの部分の違いやシルエットの違いから好みではあったんです。
エプロン無しのストレートシルエット。
無骨さが魅力的で、それなのにベルトが共地になっていることでどこか上品さもあるというところがグッド。
シルエットとしては極太のストレートになるので、サイズという意味ではウエストというよりも丈なんですよね。
裾にベルトがあるので調整は出来るものの、なるべく絞らずにストレートで履きたいというのがシルエット的な願望でして、だからこそその辺は譲れないといいますか。
そこがまさに自分のジャストサイズ。
状態に関しても悪くなく、経年変化を除くダメージはそこまで見られず、金属部に少々錆が見られる程度。
これもまた黒地と錆の相性も悪く無く、良い塩梅に感じます。
黒地に丈ジャストときて価格も1万円台となるといよいよ買うしかない。
これもタイミングと気分の冥利。
こういう名作のビンテージを買うとスタイリング欲も湧いてきますよね。