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フェデ・アルバレスが描く『エイリアン ロムルス』の新境地

 『エイリアン ロムルス

ポスター画像


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リドリー・スコット監督による1979年の傑作「エイリアン」の“その後”を舞台に、エイリアンの恐怖に遭遇した若者たちの運命を描くSFサバイバルスリラー。「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスがメガホンをとり、リドリー・スコットは製作を手がけた。

人生の行き場を失った6人の若者たちは、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムルス」を発見し、生きる希望を求めて探索を開始する。しかしそこで彼らを待ち受けていたのは、人間に寄生して異常な速さで進化する恐怖の生命体・エイリアンだった。その血液はすべての物質を溶かすほど強力な酸性であるため、攻撃することはできない。逃げ場のない宇宙空間で、次々と襲い来るエイリアンに翻弄され極限状態に追い詰められていく6人だったが……。

出演は「プリシラ」のケイリー・スピーニー、「ライ・レーン」のデビッド・ジョンソン、「もうひとりのゾーイ」のアーチー・ルノー、「マダム・ウェブ」のイザベラ・メルセドら。

ある意味で原点回帰、ある意味で新解釈。

塩梅としては非常に丁度良い感じで、懐古的な楽しさもあり、こんな発見がまだあるのかという楽しさもありで。

フェデ・アルバレス監督、「ドント・ブリーズ」でもそうでしたが、本作では一層無音の使い方が際立ってましたね。

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まずオープニングからグーっと宇宙船に寄っていくカメラワークと無音の感じにぞくぞくとさせられる。あぁSFが始まるなという。

その後も緩急のあるサウンドコントロールで、ビビらせる時はデカく、静謐な雰囲気は無音で。

この辺のバランス感覚に優れているなと改めて思いましたし、映画館ならではのこの無音の楽しみ方。一層緩急が出るというのもあの環境だから出来るんですよね。

物語の展開は序盤の印象から何故か『スター・ウォーズ フォースの覚醒』を想起させられる。

設定もそうですし、コロニーの雰囲気というか、未来を感じさせない搾取の最たるような現場。そこでの人の営みなどが手に取るようにわかり、世界観の構築精度が高いという舞台設計。

”この世界はこうなっているんだ”という感じも好きで、映画を観ている時の世界への没入感を高めてくれるキーとして、引きは良かったなと。

主人公が女性というのもエイリアンシリーズの系譜ながら、フォースの覚醒にも通づるところでもあり、その影響もあってリンクしてしまったんでしょうか。自分の頭の中で。

少々話が逸れましたが、空間の使い方の上手さが光ったのも良かったですよね。

ゲームライク、ダンジョンライクな部分も多く、ドアを閉めながらであったり、エレベーター、はしご、ロープといった小物を使用して、音を立てたらジエンドのところなんかはそうしたゲーム要素プラス無音の演出という合せ技。

無重力を利用したあの戦闘シーンなんかは、まだこんな方法があったかと思わされるほどに驚かされました。

エイリアンに関してもCGを極力使わないようにし、アニマトロニクスを使用したりで補ったということで、初期作にあるような物体的な気持ち悪さや妙なリアリティ感が出ており、相変わらずに気持ち悪かった。

最終局面でもお決まりの終わったと思ったらまだだったという演出も健在ですし、そこからの吸い取らせてさようならの終わらせ方も当然の如く。

アンドロイドの使い方も前半のコロニー環境を利用したような設定で、ポンコツだけど愛すべき人に近い存在。それがまさかの復活を遂げたアッシュの登場とチップの入れ替えにより企業の犬と化した2面性を持つことに。

ちなみにアッシュは1979年の『エイリアン』でイアン・ホルムが演じたアンドロイド。まあ実際にはルークという名前になっていましたが。

とまあ本作でのアンドロイド、アンディを演じたデビッド・ジョンソンさんは良い演技でしたね。

アンドロイドと人間味のある間にあるような感覚を表情一つで表現してしまう。

見てるだけで今はどっちの感じで、何を思っているのかとかが伝わってくるほどに、顔での表現力が高かった。

レインを演じたケイリー・スピーニーさんも素晴らしかった。

リプリー無きお話にこれまたフォースの覚醒よろしくな弱さと強さを持った女性像を提示してくれた。

あのやられるかもしれない、けど平気かもしれないと思わせるビジュアル、行動の感じなども相まって、不安感を煽られるトリガーとしても良く機能していたなと。

結局エイリアンにやられるのか、どうやって回避するのか、そうしたギリギリでの攻防と先行きのわからなさこそがこのシリーズの一つの楽しみだと思っているのでそれを押さえた役者陣の存在って大きいわけですよ。

強すぎても、弱すぎても駄目なわけで。

欲を言えばもう少し主要な登場人物がいても良かったかもしれないですね。

殺される展開が早過ぎて、生き残る人物が早々に浮き彫りになってきちゃっていましたので。

とまあなんやかんや書きましたが全体的には面白い。

本作は正史の1と2の間を舞台にした作品ということだったので続編はなんとも言えないところでしょうが、シリーズとしての枠組みを広げてくれたのは良い傾向じゃないでしょうか。

個人的にはコヴェナントの続きをやはり期待したいところではあるのですが。

では。