『エイリアン3』
凶暴な宇宙生命体と女性宇宙航海士リプリーの戦いを描く名作SF「エイリアン」シリーズ第3作。
2270年、エイリアンの脅威から逃れたリプリーの乗る救命艇が囚人惑星フィオリーナに不時着。唯一の生存者だったリプリーは男ばかりの惑星に波紋を起こす。そんな中、エイリアンが惑星に紛れ込んでおり、囚人たちを次々と襲撃。武器のない不利な状況に加え、リプリーは自分の体がエイリアンに寄生されていたことを知る……。
監督はミュージックビデオやCMを手がけてきた新人デビッド・フィンチャー。03年に30分長い「完全版」が発表。劇場公開版ではエイリアンが寄生した宿主は犬だったが、完全版では牛になるなど本来描かれる予定だったシーンなどが加えられている。
一作目のテイストを踏襲しつつ、よりダウナーに、そしてよりミステリアスに。
エイリアンシリーズの良さって設定のベースを残しつつも、監督によるテイストの脚色を広く容認していて、それゆえの幅の広さが魅力的だと思うんですよね。
本作は監督デヴィッド・フィンチャーということですが、なんと監督として初めての長編作品。
そうしたこともあり、正直フィンチャーが全てをコントロールしたとは思えませんが、それでもフィンチャー印の部分は随所に感じたりもする。
序盤のカットのにおわせと繋ぎなんてセブンなどにも通じる、とてもミステリアスな作り込み。
不穏なんですよね。
場面設定にしてもそうで、あの囚人惑星のみの展開で、しかも囚人惑星なので当然と言えば当然ですが、武器は無し。
囚人が収容されている惑星ということを加味すればそりゃ武器あったら危ないもんなということはわかるものの、看守の武器があってもいいようなもの。あそこまで丸腰でエイリアン相手に挑むのは絶対的に無理があるだろうと。
一作目ですらメカニック的な人がいたことで火炎放射器やらなにやらくらいは持ってましたからね。
今回はそれすらも皆無で生身の攻防。
というかほぼやられるのみ。
この究極的に絶望的な状況がオープニングの衝撃の死から予兆されるわけですが、フィンチャーだからこそやりきっているなといった感も。
序盤で前作の生き残り全員死んでること知らされるって・・・。
道中でも意外に重要に見えた人物が普通に死んでいくわけで、とにかく人が死ぬシリーズではあるものの、特に本作は無慈悲過ぎる。
そしてリプリーにも魔の手が忍び、最後にはあの展開っていう。
全て含めてとにかく最高に救いが無い。
カット割りに関しては面白場面も多かったですね。
先に書いた断片的な含みあるカットの繋ぎだったり、下から煽ったり、上から見下ろしたりの変則的なカットの挿入。個人的に終盤でのエイリアンとのチェイスは這うようなカメラワークから、迫力とスピード感があり、絶望を煽る要素として十分過ぎる映像に仕上がっていた気がしますね。
ミステリー調な雰囲気であったり、スリリングなカット割りだったりといった部分を楽しみつつフィンチャーが描く世界観の堪能。
エイリアンでダウナーな体験をしたい場合は是非。
では。