『殺したいほど アイ・ラヴ・ユー』
浮気亭主を殺そうとしたのはいいが、それが並み外れた体力の男だったことから起こる大騒動を描くコメディ。
製作はジェフリー・ルーソーとロン・モラー、監督は「偶然の旅行者」のローレンス・カスダン、脚本はジョン・コストメイヤー、撮影はオーウェン・ロイズマン、音楽はジェームズ・ホーナーが担当。出演はケビン・クライン、トレイシー・ウルマンほか。
これもまた丁度良し。
昔の作品、特にラブコメとかに多いんですが今ほど作り込みが過剰で無く、ありえないほどの演出もお構い無し。
そうした作品もそれはそれで観たくなることがあるもので。
リバー・フェニックス作品を観返そうと思って鑑賞したんですが、これくらいがホント気楽に観れて笑える。
マジで笑いましたね。
前半こそ、ちょっとした色恋沙汰を中心に進み、これまたテンポ良い構成だなと思っていたんですが、中盤からは普通に笑える。
腹抱えて笑えるくらい面白く、当人たちは至って真面目にやっているというところも相まって余計に笑いへのブーストがかかる。
画的にもそうなんですけど、ちょっと粗削りで小汚く、雑な感じというのも当時の質感そのままに、暮らしぶりなんかからも伝わってくる。そして、それもまたすこぶる丁度良い。
ホームコメディを観ているような気楽さがあり、わちゃわちゃした感じとかもなんか良いんですよね。
コメディ作品って最近ちょっと減ってきてる気がするんですよね。何でなんでしょう。
まあ考察ブームやらエンタメ性やらを考えると仕方がない部分もあるのかもしれませんが、ただ笑えておもろいってのもそれはそれで正義ですよ。
じゃあ演技はどうなの、脚本はどうなのってなると、当然それらも関わってくるわけですが、本気で笑える作品は役者の演技も皆上手い。
本気でやってくるから本気で笑える。
ケビン・クラインとトレイシー・ウルマンの掛け合いや表情なんかも最高で、絡みが単純に面白い。
そこに絡んでくる他の演者もタイミングだったり当たり前さだったりが笑いを誘うんですよ。
当たり前にやっているやり取りだったり、掛け合いが実は一番面白いんじゃないっていう部分もあるわけで、日常でも実際にそういうやり取りが面白かったりするじゃないですか。
そんな感じ。
リバー・フェニックスに関してはやはり演技上手かったんだなという存在感を感じましたし、細かい部分のニュアンス表現が目立つんですよね。
視線の移動だったり、表情の移り変わりだったり、動きの微妙なところだったり。
ファッションも最高にカッコ良い。
ミディアムヘアのボブスタイルでボヘミアン調のスタイルを中心としたヒッピー風。
どうしてもリバー・フェニックスを語る上でファッション抜きでは語れない部分が有りまして、このどんなスタイルでも着こなせてしまう、これは天性のセンスなんでしょうね。
とにかく気楽に笑えて昔のスタイリングなんかも見れるというのは一石二鳥だなと改めて。
理解することが全てじゃない。その時感じる笑いやセンスを感じられればそれもまた一興。
では。