これも凄かった。いや、むしろこれの方が凄かったかもしれない。
『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』
今や保存されていない貴重な番組録画テープを視聴者から募集・発掘する当番組!
当時の貴重映像をそっくりそのままお届け!
サブカルチャーに造詣が深い いとうせいこう、そして、いまドラマにバラエティに引っ張りだこの井桁弘恵(平成9年生まれ)を迎えます!
当時を知る方も、全く知らないZ世代の方も、ぜひご覧ください
衝撃度で言えば間違い無くトップクラスじゃないですかね、地上波でいうと。なんせ体としてはバラエティそのものですから。
そこからあんな事になっていくということ自体に驚きしかないわけでして・・・。
これも3話構成になっており、以前のバラエティにあったような投稿映像を見ていくというもの。
スタジオにいとうせいこうさんを中心に3名でトークしながらの進行。
投稿は一般の方からという体のもので、徐々に昔に放映していた「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」という番組にフォーカスが当たっていくんですが、この番組の完成度が高いのなんのって。
ざらついた映像に不適切さしか無い昭和を感じさせる番組、出演者のキャラも「いた!いた!」と思わされるような設定にノスタルジーすら感じるわけですよ。
なんですが、それらの投稿がどことなく不穏というか、徐々にその不穏さが確信に変わっていくような作りで、それが色々なところへと伝染していく。
露骨にと言えばそうかもしれないんですか、変化の意味が分からず、故に露骨に見えていても理解出来ないように感じるんですよ。
「あれっ、なんかおかしく無いか」ということの積み上げで、自分がおかしいのか番組がおかしいのか分からなくなってくるような錯視感ですかね。
意外にもその核心的な部分は、ラストまで繋がっているところがあって、それもまた、関係ないような断片に見えて実はというのも非常に良く練られているなと。
画面の細部に気を配るというのも重要で、わかりやすい何かが起こるわけじゃ無いからこそ気になる、という不気味さに魅了されるところもあると思うんですよね。怖いもの見たさってやつですよ。
3話なんてそんなことのオンパレードで、初見の時、酒を飲みながらダラダラと観ていたら、内容が全く分からなくて、観てたのに内容が全く分からないとかあるのかと翌朝起きて思ったくらい。
その後観返して、なるほど、かなり精巧に作られていて、ディディールに全てが宿っていたのかと納得させられました。
特にあの昔のテレビフォーマットによる両サイドの黒帯部分に隠されたギミックの部分は驚きましたね。その前から赤ん坊の声が聞こえてくるんですけど、外の音なのか近所の家の音なのかと思っていてのあれでしたから。
映像にしろ、音にしろ、カットにしろ、とにかくディティールに重きを置き、狂わされる映像体験。
これはバラエティの皮を被ったホラーですよ。
「あぁ、坂谷さんに会いたいわ」そんなことすら思いつつ、誰かと話すのも楽しい番組でした。
まぁ、夏にもってこいじゃないでしょうか。こちらも今はTVerにあがっているのでお早めに
では。