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『イシナガキクエ』の謎に迫る!奇妙で新感覚のモキュメンタリー

『イシナガキクエを探しています』

見ようと思っていたんですが、タイミングを逃したまま公開終了。だったんですが、TVerに再度あがっていたので見てみることに。イシナガキクエを探しています』大森時生が手がける新しいホラー? | コンテンツLOVERメディア U-NEXT SQUARE


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本作は、1969年に失踪した女性「イシナガキクエ」を探し続けている高齢男性の米原実次(よねはら・さねつぐ)の遺志を継いで制作された公開捜査番組という設定のモキュメンタリーである。

番組ではフィクションである事を示すため、番組冒頭と番組最後に「この番組はフィクションです。実際の人物や事件とは無関係です」というテロップが表示されている。

「TXQ FICTION」仕掛け人の一人が、テレビ東京プロデューサーの大森時生。『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!~芸能界のお節介奥様派遣します~』、『テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?』、『SIX HACK』、『祓除』など、視聴者を困惑させる番組を次々に発表。

Aマッソ単独公演『滑稽』で演出を務めるなど、幅広いフィールドでその才能をはばたかせている。

だが大森時生の主戦場は、あくまでテレビ。1995年生まれの若きテレビマンは、旧態依然としたオールドメディアの縛りを逆手にとることで、新しいかたちのホラーを生み出してきた。

これは中々ですよ。

フェイクモキュメンタリーとしての効果を最大に利用していると言ってもいいような、錯視感。

仕掛け人の方を知らなかったんですが、他の作品も面白そうなのでそれは後日見るとして、まずは本作から。

とにかくこの作品は最後まで見た時の余韻が凄い。

レストランで調理された料理が出てくると思っていたら、食材だけ出てきてハイどうぞ的なイメージですかね。

それくらい視聴者に委ねられている部分が大きく、良い意味でも悪い意味でも、観る人によって楽しみ方も、楽しめるポイントも変わってくる作品じゃないでしょうか。

普通だったら、こうした番組って何かを提示したり、ある程度のところまで誘導してくれるじゃないですか。場面的な仕掛けであったり、演出だったり。まぁそうしたことが無いわけではないんですが、そういったこと以上にとにかく”謎”そのものを最大限突き付けてくるところが面白みに繋がっているのかなと。

いわゆるミステリー的な部分。

どこがゴールなのか、何を語りたいのかを明確にしつつ、あくまでもそれ自体は指標であって、実際の助けの一部にしかなっていないという。その構成が面白いし、人の不意を突いてくるというか、狙い自体が斬新。

結局イシナガキクエは誰だったのか、観る人に委ねられている不確定要素の集積こそが答えなわけですが、それは明確には示されていないんですよ。

ただぼーっと見ているだけだと、わかること、気付くことが少ないというか。ある意味で終始ちょっとした緊張感があり、これって何か起きるのか?と徐々に思わされてくるんです。

側の部分がメチャクチャ作り込まれたドキュメンタリーというのも重要な要素でしょうね。スタジオだったり、テロップだったり。

この辺のディティールがあるから余計に変な感じがするというか。奇妙さが際立ってくるんですよね。

テレビ番組という枠組みにハメ込まれ、尺的にも、話数的にも観易いというのも特徴ですかね。

ようするに何かしらの旧来の枠組みにハマっているのに、どこかおかしい。これが徐々に決定的になっていくことで新鮮さが加わった奇妙さへつながっているのかなと思うわけです。

ただ、だらだらとなるわけでも無く、でも、ドラマにしか出来ない連続性と間があるというのも然り。

個人的にこのドラマにおける物理的な話数の間が非常に重要だなと感じていて、それがあることで、いい感じの間が生まれていると思うんですよ。オープニングから本編、そしてエンディングという体裁が。

昔って今ほど情報に即時性がなかったからこそ、次回までの間に色々と無意識的に脳内考察していたと思うんですよね。個人であったり、誰かとだったり。それを久々に感じさせてくれるような不可思議さがあるんですよ。

番組自体にビルトインされた視聴者映像や情報というものの扱い方もこだわりを感じますよね。妙なリアリティがあるというか。

いやらしい感じの作り込みじゃなく、あくまでも自然に作り込まれている雰囲気。その辺もこの捜索自体に深みを出している気がします。

テープ独特のノイズにある気持ち悪さも相まって、余計になんか変だぞという感覚に直接訴えかけてくる感じも妙に気持ち悪くて。

いずれにせよ、イシナガキクエとは誰なのか、思考を巡らせつつ夏ならではのぞくぞく感を感じてみてはどうでしょうか。

他にも大森さんが手掛けた作品がTVerにあがっているので、これもまた興味がある方は是非。

では。

tver.jp