メチャクチャに詰め込まれているのにそれが良い。
「ショート&スイート!英国コメディの真髄『SPACED 俺たちルームシェアリング』」
「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」で英国産コメディの魅力を知らしめた3人組、監督エドガー・ライト、主演サイモン・ペッグ&ニック・フロストの原点となったTVシリーズ。
99~01年、英チャンネル4で放送された30分番組。
あるフラットに間借りするコミック作家志望、ジャーナリスト志望、画家志望の男女のグダグダな毎日を、「スター・ウォーズ」「ゾンビ」など映画のパロディ満載で描く。
やはり初期作かつテレビドラマとなると懐が深いんでしょうか。初期衝動をドラマという尺で包んでごった煮にした感じ。
個人的にはエドガーライト作品の中で、ショーンオブザデッドと並んでトップクラスに好きな作品。
ハウスものとかってなんか好きといいますか、数名のお決まりメンバーが何かする話ってなんか好きなんですよね。
なんとなく観ていくうちにその空気感を共有できる感じがあると言いますか、どことなくその一員になれている気がして。
そしてその集団はぶっ飛んでたり、馬鹿な方が良い。その意味で本作は共に満たされた最高のエンターテインメント作品だなと。
正直映像的に古臭さもあるし、靄掛かった映像表現やブレ、激しい照明といった観にくい演出も満載。
なので合わない人にはとことん合わないと思うんだけど、自分自身はこういう作品ってホント好き。
インテリア、ファッション、音楽、振舞い、ゲーム。そういった出てくるものも別にカッコ良くないのにカッコ良く見えてしまう。90年代を感じさせるオマージュも豊富に含まれており、特にゲームはやられた。
主人公であるティムがよくゲームをしているんですが、それが初代プレステ。やっているゲームもバイオハザードだったりトゥームレイダーと中々に懐かしく、個人的に思い入れが強いバイオハザードをやりたくなったのは言うまでもないですね。
カルチャー的な要素を含んでいるところも惹かれるところなんでしょう。もうこのDVDのジャケットからしてスターウォーズ全開なのにストーリーと全く関係ないですし。
とにかくやりたい放題、大真面目にくだらないことをやり過ごす日常ってのはやっぱり最高にふざけてて最高に面白い。
観やすさも特徴的で、1話20分ちょっとで観れてしまうのもこの時代のドラマの特徴じゃないでしょうか。気軽に観れて普通に笑える。3話くらいからは毎回爆笑して観ていた気がします。
シリーズ2になってくるとキャラへの愛着はさらに湧いてきますし、ホントに自分の日常に溶け込んでくるというのも不思議なもんですよね。
このシリーズの撮影って、常に面白いことをしようという気概にも溢れていて、それがシリーズ2だとより過激になってもいる気がします。
とにかく深いことを考えずダラダラ見るというのがオススメな見方というのも、画面の中の彼らが体現してくれているかと思います。
そんな私が一番好きなショット。
たびたび登場するテレビ画面側からのそれを見ている彼らのショットなんですが、この観ている側が見られているのに、それこそが自然な振る舞いというなんかほっこりするショット。
これがバカげていたり、笑えたりするのに、なぜか安心するし憧れる。
こういうライフスタイルを送りたいと思ってしまうのは前々から変わらぬ価値観なんだなと。
それにしても邦題の「俺たちルームシェアリング」って。ダサ過ぎでしょ。まあこれくらいの時代はよくある現象かとは思いますが。
では。