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南瓜とマヨネーズ

淡々としたストーリー。それと対比したかのようにコントラスト強いタッチが印象的な作品。

南瓜とマヨネーズ

恋愛ってどこか不思議なもので、合理的な行動がとれないというか、そういう正しさとはかけ離れた行為だと思うんですよね。

なぜ好きになるのか、なぜ嫌いになるのか、その線引き自体も紙一重だし、何ならそのタイミングによっても左右されてしまうような曖昧な存在。

そのどうしようもない恋愛というものにフォーカスしたのが本作『南瓜とマヨネーズ』。

1999年に出版された作品なので今となってはと思うところもあるとは思うんです。それでも普遍的な恋だの愛だのっていう話は尽きないわけで、むしろ90年代独特の空気感みたいなものも感じられるし、恋愛における時代性みたいなものも見える気がする。

そんな本作ですが、冒頭にも書いた通り、画のタッチはコントラストのあるラインが印象的。

内容的にもそうではあるんですが、詩的な雰囲気があり、どこか儚げな印象が全編に渡って漂う。

興味深いのが、その詩情性であったり、儚さだったりというものが画から滲み出てくるというところ。

読むと切なくなるのは、きっとその物語だけの力じゃなくて、画そのものが訴えかけてくる叙情性にもある気がするんですよね。

コマ割における何気ない日常や風景、モノの描き方をとってみても、その何気ないコマでさえ感情に訴えかけてくるような空気を感じさせてくれる。

そのどれもが生活感とも違う、生活にまつわる”人となり”を伝える役割として機能しているように思える。どういったパーソナリティで、どういったライフスタイルを送っているんだろうという見えない部分さえも想像させて含みを感じる。

ストーリー自体は本当に単純な日常系恋愛モノ。

けれどもその日常を描く中で、恋愛という特殊な状況が生み出す、矛盾したような感情や行動、それと淡々と進む日々が対比したように描かれ、そのコントラストも癖になる様な世界観を感じさせる。

好きってホントなんなんだろうな。

でもその感情無くして、人生を送ることは非常に寂しいことなんだろうなとは思う。

幸せになることが絶対とは言えないもの、それが恋愛。

思い出は絶対に美化されていくことも知りつつ、その思い出も含めてでしか、その時の恋を語れないというのもまた事実なのかもしれません。

映画化もされていて観たかったんですが、原作から読みたいなと思っていたのでまだ観れておらず。配役含め中々良い感じに仕上がってそうなので、こちらも機会があればチェックしてみようと思います。

余談ですがこのタイトルってどういう意味なんでしょうね。

南瓜とマヨネーズ。一見すると”あれっ”と思うけど意外に相性が良いという感覚が恋愛にも通じるなと思ってしまいます。

では。