ブラピ出演作の中でも特に好きなスタイリングとヘアスタイル。
『セブン』
退職を間近に控えたベテラン刑事サマセットと若手刑事ミルズは猟奇連続殺人事件の捜査にあたる。犯人はキリスト教における7つの大罪に基づいて殺人を繰り返していることが明らかに。
やがてサマセットとミルズは容疑者を割り出すが、その人物に逃げられ、さらにミルズの素性が知られていたことも発覚する。
そしてさらなる殺人事件が続いた後、驚愕の事態が……。独特のビジュアルセンスとダークな物語が話題を呼んだ戦慄のサスペンススリラー。
ワンアポの時も思ったんですけど、ブラピやディカプリオのような俳優は本当に年代ごとにスタイルも違うし、常にカッコいい。他にもそういった俳優は浮かびますが、俳優ベースで観返したくなる作品というのも間違いなくあるなと。
そんな感じで今回はブラピの髪型が観たい、という理由でこちらを鑑賞。
この時のブラピは最高にカッコ良く、映画的にもかなり好きではあるんですが。31歳でこの感じかと思うと雰囲気あり過ぎですよね。
そんな本作は相変わらずのフィンチャー作品といった、ソリッドでダークな刑事、バディもの。
冒頭の不穏な感じも堪らないですし、映像も銀残しされているそうで、独特な色味とテイストが不気味さを一層引き立てています。
タイトルバックはカイルクーパーがデザインしており、この作品で一躍有名になったとのこと。まあそりゃそうですよね。だってカッコ良すぎますもん。
監督によるとこのOPは犯人の頭の中を表現したようなものにしたかったそうですね。
この感じが作品にも抜群に合ってますし、本当に今見てもカッコいい映像だなと思いますよ。
内容的にはかなりヘビーですし、実際、鬱映画とも言われている。でも個人的にはそこまで重過ぎもしないというか。なんなら若干の共感すら持てるような内容じゃないかなとすら思ったり思わなかったり。
映像的にもグロさがそれほど全面に出てくる作品というよりも、そのグロテスクさを想像させるような作りになっている気がしますね。とはいえ苦手な人からすると厳しいシーンが多いかもしれないですが。
ちなみに内容に少々の共感が持てる、という点について先に書いておくと、ストーリー上の各キャラクターの視点について興味深いと言いますか、その考え方あるよね、といったようなキャラクターベースでの共感性のこと。
特にモーガン・フリーマン演じるサマセットが述べる「無関心がまるで美徳のように・・・」といったような無関心に関する会話は印象的で。
本当にその通りだと思うし、それって日本人に強く当てはまる同調性や事なかれ主義なんかがそうだと思うんですよ。
これって結局は違うと思っていても、抗うよりも流される方が楽だからそうしてしまうといった、誰にでも少しは心当たりがあるような類じゃないでしょうか。
自分を棚に上げ、他を凶弾し、まるで自分以外が間違っているかのように誤認して生きていく。それに対して図々しさを感じることがありますし、見ていて、本当にそういうの嫌いだなと思える。
そういったしがらみから解放されたキャラクターとして描かれるブラピ演じるミルズ刑事。彼もまた最後にはそういった流れに足元をすくわれるような格好になってしまうわけですが、そのラストも中々に皮肉的でして。
自分を貫いたからこそのラストシーンと考えることもできますが、あれは社会という流れに飲まれ、流されてしまった果ての様にも見えた気がします。
結局個人の力なんてたかが知れているし、気負ったところで大流を変えることは出来ないのかな、なんて。
とはいえ、そうだとしても自分自身はそうなりたくないと思いますし、抗えるだけ抗いたい。最終的にその選択をすることになっても、主体的に考え、行動するというスタンスは貫きたいものです。
その後のミルズを考えると頭が痛いですが、彼は彼なりの考えでもって行動したと思いたいものです。
そんなセブン、話自体は7つの大罪に基づいた残忍な事件を追っていくというものなんですが、バディもの映画としての質が高いというか、ミルズとサマセットの感じが丁度良く、とにかく純粋にカッコ良い。
ノワール感漂う映像とスタイルのある二人の刑事。
ミルズは白シャツにガンホルダーorサスペンダー、それに少し柄の入ったネクタイ、アウターはレザーのカバーオールというかハーフコートの様な出で立ち。
それに一歩間違えば角刈りにもなりかねないところ、こなれ感で抜群に似合ってしまうブラピ力。あの髪型含めて反則級のカッコ良さですよね。
全てが完璧過ぎる。
無精髭なんかもスタイルと合っていてとにかくカッコ良い。
一方のサマセットもかなりハマっているようなハットにスーツ、ステンカラーコートのスタイル。これもあの年齢であの雰囲気だからこそのカッコ良さがあって良いですよね。渋みのある重厚な着こなしが様になっている。
やっぱりファッションを考える際、バックボーンだったり実の部分が備わっていると一段とカッコ良く見えるというか、ウソっぽくならないんですよね。
~風とか~系ってやっぱり付け焼刃だなと思ってしまう。
模倣が全部ダメとは思わないし、入り口はどんなものでも良いと思うけど、行きつく先はスタイルあってのファッションじゃないかと。
そういえばOPの音楽はトレント・レズナー率いるナイン・インチ・ネイルズのCLOSER。映像との親和性が高い。
この後くらいから様々な劇伴にも関わってくるわけですが、フィンチャー作品との相性の良さはこの作品を見ても一目瞭然ですよね。硬質でノイジー、インダストリアル感溢れ重暗い映像に合わないわけが無い。
本作では雨が降っているシーンも多々出てくるんですが、その雨のシーンも非常に良いというか、ブレードランナーのような独特な哀愁が出ている気がして世界に埋没できる。
映像自体のエフェクトとして良く機能しているような一体感もありますし、ファッション的なスタイルとストーリー的な関係性を取り持つような効果もある気がしていて、とにかく細部にわたる世界観の構築が見事だなと。
何かで読んだんですが、どうやら本作には殺人のシーンは一度も映されていないらしく、それなのにその光景を見たような禍々しさがあるというのも頷ける作り込み。その監督の狙いもフィンチャーらしいですよね。
前段階では殺人シーンもいくつかあったようなんですが、それらを無くし、逆に殺された死体やその現場を徹底的にグロテスクに描くことでその光景を想像させる。それにより観る者により多くを想像させ、見せる以上に不快な気分にさせるといういやらしさ。フィンチャーらしいと言えばそうですが、あのやり方含め、非常に効果的だったと思います。
ラストが取り上げられがちな映画ですが、それ以上に全体の奥行きに目を向けるとまた違った側面が見えてくる気がします。
まぁ個人的にはファッション映画として観ても抜群だと思いますが。これってスタイリングは誰が手がけているんでしょうか。調べても見当たらなかったんですよね。
いずれにせよどういった観点で入ってもいいのが映画というもの。
この髪型になれる日は来るんでしょうか。
では。