興奮に次ぐ興奮、そして感動に次ぐ感動。
『アルマゲドン』
小惑星の接近で滅亡の危機に瀕した地球を救うべく宇宙に旅立つ男たちの死闘を描いたヒューマン・アドベンチャー。監督は「ザ・ロック」のマイケル・ベイ。
脚本は「ダイ・ハード3」のジョナサン・ヘンスレーとロバート・ロイ・プールの原案を基に、ヘンスレーと「心の旅」のJ・J・エイブラムズが執筆。
製作はベイと「コン・エアー」のジェリー・ブラッカイマー、「ターミネーター」のゲイル・アン・ハード。製作総指揮はヘンズレー、チャド・オーマン、ジム・ヴァン・ウィック。
撮影は「ザ・ロック」のジョン・シュワルツマン。音楽は「イレイザー」のトレヴァー・ラビン。美術は「エイリアン3」のマイケル・ホワイト。SFX 監修は「アポロ13」のパット・マックラング。
出演は「マーキュリー・ライジング」のブルース・ウィリス、「すべてをあなたに」のリヴ・タイラー、「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」のベン・アフレック、「ビッグ・リボウスキ」のスティーヴ・ブシェーミとピーター・ストーメア、「ザ・ウィナー」のビリー・ボブ・ソーントン、「コピーキャット」のウィル・パットンほか。
中学時代にリアルタイムで鑑賞、その後大学生の時とかに観た記憶があるものの、今回映画館で観たのが一番感動しましたね。とにかく泣いた泣いた。
年齢的なこともあるのか、映画というものを見慣れてきたからなのか、とにかく素晴らしいの一言。
当時観ていた時というのはマイケル・ベイという監督自体知らなかったし、俳優たちもほとんど知らずに、ただただCMや学校での噂に流される形で鑑賞しただけでした。
それが今観るとなんでしょう、この豪華な顔ぶれと今でこそ確立されたマイケル・ベイ然としたてんこ盛りな情報量。
冒頭からアガるアガるの展開で、正直序盤からこのテンションだったか、この後どうなっていくんだっけと思っていたのも杞憂に終わり、一切中だるみせず、ラストまで150分間、あっという間でした。
アガるは泣くは手に汗握るわといった展開で、喜怒哀楽のジェットコースター。エメリッヒとはまた違うディザスター演出に、映像的なダイナミズム、感情に訴えかけるダイナミズムさ、とにかくどこを切り取ってもダイナミックなんですよ。
マイケル・ベイ作品ってホント絶望感というか、身も蓋も無い感と言いますか、「あぁ終わったな」という演出がエグ過ぎて、ここからどうなるんだよと思えることが多々あるんですが、意外にしっかり気持ち良く畳んでくるんですよね。
脚本の骨子がしっかりしていたというのもあるんでしょうが、演者個々の存在感や演出の冥利も上手く噛み合ったんでしょう。
テンポの良さもあると思いますが、本作のテンポの良さは特に抜きに出てるんじゃないかと。
隕石落下からの石油採掘、仲間を集めて会議して、宇宙に行って作業して帰ってくる。
どれだけ職人仕事なんだよと突っ込みたくなるほどに、全員がプロフェショナル過ぎる。やっぱりプロフェッショナルはカッコいい。そんなことすら思ったり。
そして、合間合間のやり取りや映像に無駄が無いですし、あったとしてもテンポ良過ぎて気付かない感じ。
人が死に過ぎだとか言われることもありますけど、個人的にはあれくらいで丁度良いんじゃないでしょうか。未曽有の危機に陥り、被害がそんなに小さいわけがない。急造で作られたメンバーによるミッション、しかもその目的自体も前例が無いし、正解なんて誰にもわからないようなもの。
これは人死にますよ。物も壊れますよ。当たり前に絶望感満載で転がっていきますよ。
そんな絵空事のような綺麗な話では終わらないに決まってますよ。だって起きていることそれ自体が絵空事なんですから。
会議的なもののシーンですらテンポ良かったんですが、一番テンポ良い、かつカッコいいなと思ったのが散り散りになった採掘メンバーを集めるシーン。
これってなんか最近既視感あるなと思ったんですが、スーサイドスクワッドでした。こちらほどコミカルな感じで描かれてはいませんが、近作で思いつくのは間違いなくこれ。
話しは戻りますが、本作でのそれは仲間の特徴を良く表してますし、仲の良さ、信頼し合ってる関係性とかも良く出ていて、メチャクチャテンポが良く、カッコ良く見えてくる。個々のキャラをシンプルに描いたからこそ人間味と言うか共感が生まれてくるんでしょうか。
その後のトレーニングシーンでも、ミッションでも、個々のキャラクターが実に生き生きとしていますし、それも前半部のキャラ演出が見事だったからこそ。
全員違ってそれで良い。各々が否定するでもなく、尊重し、過ごすことの素晴らしさ、あと何と言ってもハリーのリーダーシップは学ぶところがありますね。
父親としての姿勢もですし、仕事への姿勢、周囲への姿勢。一見するとただの荒くれものに見えてしまいますが、それはただの一面であって、実のところは義理堅く、愛に満ちた存在だということ。仕草や物言いからもその断片が垣間見えてくるんですよね。
頭も切れるし、判断も早い、責任だって負うし、妥協はしない。
娘であるグレースやAJとのやり取りも不器用ながらも愛に満ちていましたし、ラストでのシーンを思うと未だに泣けてくる。
出てくる人物全員の人間模様も面白くて、やり取りや会話も面白いんですよね。
危機感と日常感のバランスが絶妙と言いますか、緩急の付け方が見事に調和している。
これまた個人的に好きなキャラの話ですが、ロックハウンドみたいな人って必要悪だと思ってしまうんですよね。まあ演じているスティーヴ・ブシェミが好きな俳優で、憎めないようなゆるい感じ。どの映画でもそんな感じではありますが、本作のような作品だと余計に良いスパイスとして効いてくる。
ハリーとグレースを取り持つときも、ハリーとAJを取り持つ時も、ミッションでトラブルに見舞われた時も、変わらぬ存在として場を和ませてくれる。誰にでも出来る芸当じゃないですよ、改めて。
どこまでいってもダイナミックさとテンポの良いマイケル・ベイ印。
そこに最高な人間模様とドラマ性が加わっているわけで、最高にクールなディザスター作品。
絶対に映画館で一度は観て頂きたいビックバジェット作品じゃないでしょうか。
では。
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