『余白を楽しむアニメーション~Sonny Boy -サニーボーイ-編~』
長い長い夏休みも半ばを過ぎた8月16日。学校に集まっていた中学3年生・長良〈ながら〉たちは突然、思いも寄らない事態に巻き込まれていた。
長良自身はもちろんのこと、謎の転校生・希〈のぞみ〉や瑞穂〈みずほ〉、朝風〈あさかぜ〉ら、36人のクラスメイトとともに、学校が異次元に漂流してしまったのだ。
しかも彼らは、漂流と同時にさまざまな《能力》を入手。人知を越えた能力に大喜びし、好き勝手に暴れ回る者もいれば、リーダーとして他の生徒たちを統率しようとする者も、元の世界に戻るための方法を必死で探す者もいる。
渦巻く不信や抑えきれない嫉妬、そして支配欲からくる対立。次々と巻き起こる不可解な事態を前に、少年少女たちは突如として、サバイバル生活に放り込まれてしまう。
果たして長良たちはこの世界を攻略し、無事に元の世界に帰ることができるのだろうか……?
当時エヴァンゲリオンの時も感じましたが、観てハッとさせられるアニメーションってやっぱりあるんですよね。
ストーリがどうとか、キャラクターがどうとかいうことを抜きにして、映像表現としてハッとさせられる。
本作にもそれはあって、とにかく冒頭から説明が少ないし、黒の使い方や演出の仕方が謎めいている。
音の使い方もそれを助長していると思うんですが、何となく不穏な感じがずっと続きます。その辺が妙に気になると言いますか、モヤモヤと心地良く漂う感じ。
ストーリー以外の部分も良くて、まず目を引くのがキャラデザイン。江口寿史が担当しているようなんですが、やはり彼の描く女性は魅力的です。リアリティのある魅力というか、観ていて自然に可愛く感じるところが良いんですよね。
映像に関しては湯浅監督の『マインド・ゲーム』に似た印象。といっても、本作はそれを静的かつモノトーンな印象にした、ある種真逆な雰囲気を纏った映像表現。故に不穏というか間が際立つ感じでして。
エンディング曲も銀杏ボーイズが担当していて、これも画と良く合っているというか、中々エモい仕上がりで、作品の終わりに良い安堵感を与えると言いますか。
どういった形で物語が終わるのかわかりませんが、最後まで楽しみたいと思います。