大人になると見え方も変わる。
『リング/らせん』
呪いのビデオが巻き起こす惨劇を描いた鈴木光司のベストセラー小説を、「女優霊」の中田秀夫監督&高橋洋脚本で映画化し大ヒットを記録したホラー映画。ジャパニーズホラーブームの火付け役となり、2002年にはハリウッドでリメイクされた。
テレビディレクターの浅川玲子は、「見ると一週間後に死ぬ」と巷で噂されるビデオテープの存在を知る。
親戚の娘も犠牲になったことを知り調査を開始するが、玲子自身もそのビデオを見てしまう。
玲子は元夫である大学講師・高山竜司に相談し、ビデオの映像を分析。三原山の噴火に関係があることを突き止めた彼らは、大島へ向かう。
見ると死ぬという呪いのビデオの謎の真相に迫る、同時公開された「リング」の内容を受けた続編。
監督は「NIGHT HEAD」の飯田譲治。第17回吉川英治文学新人賞を受賞した鈴木光司の同名小説を、飯田自身が脚色。
撮影を「アートフル・ドヂャース」の渡部眞が担当している。主演は「Lie lie Lie」の佐藤浩市。
公開時と同じく二本立てで観たんですが、やはりJホラーの原点にして最高傑作かと。
今観ると怖さへの耐性が増した分、それほどではないと思ってしまう部分もありましたし、なにより大人になると貞子に対しての見方も変わっていて、どうしてもその背景やら感情やら込みで観てしまうんですね。そんな風に見えてしまうとは面白くもあり、月日の流れは意外なものです。
それでも、人の本能的に感じる怖さは捉えられていると思うし、演出のバリエーションも大したもの。
観ながら思い出し、一番嫌だったのがその構図。
貞子が出てくるシーンとかテレビに映り込むシーンとか、普通はそういったダイレクトにわかるシーンに目が行きがちだと思うんですが、個人的にはダントツでその構図。
誰かを映す時とか、背景を撮る時とかに意味深な余白を入れて撮っている。若干ずれていたり、寄っていたりと、とにかく映画の細部を観る人ほどその独特な間に怖さを感じると思う。あと、やはりアナログの怖さもあるかと。ビデオってなんであんな怖く見えるのか、粗さなのか、不明瞭さなのか、とにかく怖く感じてしまう。
映像だけでなく、音からもその怖さは増幅されるし、これは本当になんなんでしょう。人は不明瞭だったり、謎に満ちていることに恐怖や興味を抱いてしまうものなのか。
今となってはネタ化されてる感もあるので、公開時のような怖さはないかもしれませんが、とはいえな怖さと含みを内包している作品だと思うので、晩夏になりましたが、見返してみるのも良いんじゃないでしょうか。