変人讃歌
『ナポレオン・ダイナマイト(バス男)』
Napoleon Dynamite - Trailer - HQ
田舎のオタク高校生たちの日常をオフビートなタッチで描き、低予算ながら全米でヒットを記録した学園コメディ。
アイダホに住むオタク高校生ナポレオン・ダイナマイトは、ルックスも行動もダサすぎるため学校でイジめられてばかり。
ある日、転校してきたメキシコ系移民の青年ペドロと友達になるナポレオンだったが、ペドロが生徒会長への立候補を決意したことで、選挙活動に協力することになるが……。
日本では2006年、当時流行していた「電車男」にあやかった「バス男」という邦題でDVD発売。あまりにひどい邦題として一部で話題に。13年にリニューアル版のソフトが発売されるにあたり、「ナポレオン・ダイナマイト」へ改題された。
久々映画で笑いました。
カルト映画と呼ばれるものはわりかし好きで観るんですが、本作は何となく観れておらず、ようやくの視聴です。
邦題がバス男とどうしようもない邦題なんですが、当然の如くストーリー上のバス要素は皆無。強いて言うならバスで移動していることもある、程度のもの。
冒頭のクレジット部分から凝った作りになっていて、食べ物や文房具などで上手く表現されている。そのラフな感じというかコミカルな感じが作品イメージと一致していて、その辺も見事に引き込まれる。
そこから何か変な日常がとんでもないオフビートで展開され、とにかく変わった人の日常を観ている感じ。
その変わった人たちの変わり具合が丁度良くて抜群に笑える。描いている絵も謎だし、紐で繋がれたボールで遊ぶのも謎。リユースショップで変なビデオを買ってきてハマっちゃうし、タイムトラベルだってチャレンジしちゃう。個人的に一番笑ったのがおじさんのバンにメロンを投げつけるシーン。そこからのストⅡばりな展開へと続き、最高に笑える。最後の馬のくだりも本当にバカで、とにかく発想から行動までぶっ飛んでる。それを当たり前にやるんだから、これがホントの意味での日常系。
その辺が気軽に観れるし、またあいつらに会いたくなる理由なのかもしれない。それゆえのカルト化作品だと改めて感じる。
正面から平面的に人物を配置したさっきのストⅡのようなショットも多数登場するんだが、それがまたコミカルさとシュールさに拍車をかけるし、ストーリーの世界観に絶妙に寄与している。
その他カルチャー的にも中々癖になる感じで、ファッションも独特なスタイルが逆に気になってしまう。
Tシャツは基本インスタイルで、足元は何故かスノーブーツ。カラーリングが絶妙なところもあるけど、個人のパーソナルな部分が服装にも滲み出てる気がして結構ツボ。
ダンスパーティーの時のスーツスタイルは悪くないと思うし、終盤での選挙Tシャツも中々洒落っけがあるスタイリング。あの格好にウォークマンをぶら下げて、チープなヘッドホンを付けたスタイルはかなりエッジが効いていて好きだった。
音楽のチョイスも良くて、劇中歌も良い選曲がされているし、何といっても選挙演説後にかかる『Canned Heat』が演出含め最高。
NAPOLEON DYNAMITE Dance Scene Jon Heder
他の出てくるキャラも濃いわ面白いわでとにかく規格外の連続。描かれている事象としては日常系の枠をでない作りなんですが、その起きている日常が笑えて愛敬もあるもんだから、そんな日常を観ていたくなるのは当然のこと。
疲れた日常をぶっ飛ばし、気軽に上がる映画を観たい方にはうってつけの作品じゃないでしょうか。