ファッションが全てだとわかるほどにカッコいい。
『アウトサイダー(1983)』
The Outsiders (1983) Official Trailer - Matt Dillon, Tom Cruise Movie HD
どこにも行き場のない少年たちの姿、行動を描くドラマ。提供・監督は「ワン・フロム・ザ・ハート」のフランシス・フォード・コッポラ。製作はフレッド・ルース、グレイ・フレデリクソン。
S・E・ビントンが17歳の時に発表した同名小説(大和書房、集英社文庫)に基づき、キャスリーン・クヌートセン・ローウェルが脚色、撮影はスティーブン・H・ブラム、音楽はフランシスの父親力ーマイン・コッポラが手掛けている。
主題歌の「ステイ・ゴールド」は、力ーマイン・コッポラが作曲し、スティーヴィー・ワンダーが作詞、ワンダーが歌っている。プロダクション・デザイナーは、ディーン・タヴォーラリス、特殊視見効果はロバート・スワースが担当。
出演はC・卜ーマス・ハウエル、マット・ディロン、ダイアン・レイン、ラルフ・マッチオ、エミリオ・エステヴェスなど。
原作者のヒントンが看護婦役でゲスト出演している。
ランブルフィッシュの流れから観たんですが、これは本当にファッションが良い。
公開された時に渋谷などでこういった格好の人が増えた理由も納得のカッコ良さ。スタイルがファッションを定義するのか、ファッションがスタイルを定義するのかといった葛藤は自分の中にもあるものの、これは両側面からのアプローチがされている気がした。
デニム、グリース、短丈、ノースリーブ、ジャストサイズ。
今の時代にある、緩さへの反動なのか、この着こなしと存在感に圧倒された。男が憧れる男の像がここにあると思うし、単純にカッコ良い。
個人的にはマットディロン演じるダル(ダラス)の雰囲気が好きで、ルードな中に芯のあるスタイル。レザーをラフに着こなし、インナーは基本的に黒。タイトめなデニムにブーツスタイルで、雑な感じの短髪が良く似合っている。咥え煙草も最高にクールで、とにかくどこを切ってもカッコ良い。
原作者が17歳の時に書いた同名小説が基になっているというのも驚きだし、逆に言えばその時にしかわからない感性的な事が詰まっているようにも思う。
冒頭のタイトルバック、そしてステイゴールドの時点でこの映画が良いことは確定。
スティービーワンダーが歌うと何故こんなにエモーショナルでパワフルな気持ちになるのか。そう思いつつ、意外に詩的に物語が幕を開ける。
全編通して、これといった出来事が起きるわけでも無く、ただただ青年の日常が展開されるだけ。
インパクトのある出来事もあるけど、それは若さゆえの過ち。その辺の生々しさや、唐突さ、それでいて自然に展開される物語こそが同年代にしかわからない感覚の賜物なのかもしれない。
面白いのが、それを観る者の年代関係無く、普遍的に伝わってくるところにあると思う。誰もが多かれ少なかれ経験した、時代の通過点。それがシンクロするように作られているように感じるシーンが多々挿入され、物語と視聴者にドライブ感がもたらされる。
ラストにかけての自分も抱いたことがあるような問いに対してもアンサーも秀逸で、それこそ先ほどのステイゴールドこそが回答。
強がることでも、カッコつけることでも、悲観することでも、諦めることでも無く、自分自身の中に本来はあったであろう『ゴールド』。これを持ち続けることこそ人生の意味であり、目指すべきところなのかもしれない。そう思うと人生捨てたもんじゃない。
とにかく青春時代に観たかった作品であることは間違いないと思ってしまうが、今観ても十分に刺さる部分がある映画だと思う。