やはりスタイルがファッションを作るとカッコいい。
『さらば青春の光』
青春映画の金字塔が作40年ぶりに上映/映画『さらば青春の光 デジタルリマスター版』予告編
1960年代イギリスを舞台に、当時流行した「モッズ」と呼ばれる若者たちの生きさまを描いた青春映画の金字塔。
細身のスーツにミリタリーコートを重ね、飾りつけたスクーターで街に繰り出し、古い道徳を振りかざす大人たちに反発する“怒れる若者たち”。
「モッズ」と呼ばれた彼らの、停滞する社会への行き場のない怒りや疎外感、刹那的な生き方を鮮烈に描き、モッズブームを引き起こした。
65年、ロンドン。細身のスーツに身を包み、ベスパやランブレッタにまたがるモッズたちのグループは、革ジャンにリーゼントのロッカーズたちのグループと敵対関係にあった。広告代理店で働くジミーは、モッズのリーダー的存在であるエースに憧れ、モッズ仲間たちとドラッグやケンカに明け暮れる毎日を過ごしている。そんなある日、海辺の街ブライトンでモッズ対ロッカーズの大規模な衝突が起こり、暴動騒ぎにまで発展するが……。
映画の原題「Quadrophenia」は、イギリスを代表するバンド「ザ・フー」が孤独なモッズ少年の物語をつづった73年のロックオペラアルバム「四重人格(Quadrophenia)」から。同アルバムがモチーフにもなっており、「ザ・フー」のメンバーが製作総指揮に参加している。
1979年に製作され、日本でも同年公開。2019年10月には40年ぶりにデジタルリマスター版でリバイバル公開。
こういう映画はやっぱり好きなんです。抜群に面白いかといえばそうでは無いんですが、ファッションとカルチャーの関係がわかるような作品って洋服好きとしては見どころが多いし、そうこうしているうちに終わってしまう。
ストーリーは千差万別だし、良し悪しもあるんだけど、とにかくそういうのが知れるのが本当に楽しい。
本作といえば『モッズ』。
タイトなスーツにモッズコートを着て、スクーターに乗る。パンクとモッズは似て非なるものでありながら似通っている部分も多々ある気がする。
とにかく若気の至りというか、『反逆』の精神をそのまま行動に移し、スタイルに落とし込む。
若い頃に確立されるスタイルって、利よりも美を取るところに清々しさとカッコ良さがあると思っていて、大人になってからそのスタイルが継承されることはあっても、大人になってから新たに身に付けるのは至極難しい。
血となり肉となり、根底に落とし込まれたスタイルというのはやっぱり見せかけのものとは違うし、それは感情や気質にも同様の事が言えると思う。
本作はモッズの代名詞ともいうべき『The Who』が製作総指揮に関わっているとあって、音楽、様式、その他含めてとにかく良い。
The Who自体好きなバンドだし、キースムーンのドラミングは本当にカッコいいと思う。タウンゼントのようなシャツにネクタイ、ダブルのライダースを合わせるスタイルなんかもかなり影響を受けた。
青春時代に抱える葛藤とそれを乗り越え、自分なりに何かを得るという経験を追体験できるという意味でも本作は素晴らしい出来じゃないかと思ってしまう。
音楽とファッション、切っても切り離せないものだと思うし、コロナ禍の今において、こういった過去が過去にあった産物とみられるように、現代の当たり前が過去の産物になってしまうかもしれないという現実に直面しながら観ることで改めて発見があるのかもしれない。