大きい、だからそのまま観る。
『ピータードイグ展に行ってきた』
今年の初めからずっと行きたいと思っていて、コロナで流れ流され、このまま観れないのかと思っていたんですが、会期が延長し10月までやっていたのでようやく観てきました。
絵画にそれほど興味関心がある方では無いのですが、彼の作品は何となく惹かれるものがあってとにかく観てみたくて。
初見の感想はとにかく大きい。迫力と共に、油絵の持つ重厚な存在感、独特な色の積み重ねによる色彩の豊かさも相まって、とにかく1枚目から魅了されました。
今まで絵画とかでただただ美しい、そう思ったことがあっただろうかと思い返してみても、それほど思い当たらず。
とりわけ色彩の感覚が自分の好みな感じで、観ていて色々な想像が膨らむのもそうした好みあってこそだと思いました。
ドイグ自身、映画も好きなようで、13日の金曜日からインスピレーションを得た作品には、そうした不気味さ、怖さみたいなものも内包しつつ、それらを超越した美しさみたいなところに至っており、ただただ見入ってしまいました。
絵画というと難しく構えてしまって、どうやって見るのかとか、作家性が云々とか、そういった蘊蓄や思考に頼ってしまいそうなものですが、そういったものは無くても感覚で得られるものがあるんだなと改めて感じました。
無意識にですが油絵のタッチを好む自分に気付いたのも、彼の作品を見た時に直感で感じたところだった気がします。独特のぬめっとした感じ、美しさと禍々しさのような相反する二つが同居しているところも好きなテイストなのかもしれません。
展示の構成も面白くて、年代ごとにブースが分かれ、奥に行くほど後期の作品になっていく。
全て観終わった後で最初からもう一度観直した時、確実に初期の作品が好きな自分に気付き、そこでもう一度好きな絵を観入ってしまいました。
ラストにあった映画の自作ポスターなんかは遊び心と端的な映画表現が面白かったですし、これも好きだからこそ描ける作品なのかと。
観終わった後も余韻とインパクトが残り、珍しく図録まで買ってしまいました。本当は作品を買いたいものですが、それは値段が・・・。
内容的にもすごく充実してましたし、時折眺める最高のアイテムを手に入れた気がします。
店頭では品切れになっており、まだ手元には届いていないのですが、やはりどんな芸術もライブが一番。出会いとタイミングを大事に今観れたことに感謝したいと思います。
余談ですがその後ふらっと立ち寄ったもつ焼き屋が意外にも良くて。古き良きさりげない佇まい。フィーリングにはやはり惹きつけられる何かがあるようです。