夏のテンションにちょうどいい。
「交渉人 真下正義」の本広克行監督が惚れこんだ京都の劇団『ヨーロッパ企画』の芝居『サマータイムマシン・ブルース2003』を、自ら初プロデュースも手がけ映画化。
タイムマシンを巡って思いがけない事態に巻き込まれる学生たちの姿を描く青春コメディ。
季節とか気温とか、テンションにあった映画ってあると思ってる中で、本作はまさにそれ。
舞台は2005年夏。そこから過去やら未来やら諸々行き来しながら話が転がっていく演劇作品を映画化したもの。
最近演劇と映画の違いとか面白さとかを意識して観ることが増えていて、今作もそんな意味での感覚にフィットした作品でした。
原作の演劇のヨーロッパ企画はコメディ要素が強いものが多い印象で、その意味での夏らしさや軽妙さは予想通り。
演者もみな若々しく、当時の雰囲気を懐かしむ側面があったこともあって、ゆるく楽しめました。
こういう映画はやっぱり気楽に楽しむのが一番ですね。
物語の設定もタイムマシンネタと荒唐無稽でありながら、その絶妙なバランス感覚が楽しめ、最後には?となるような展開で、観終わった後に自分の頭の中での伏線回収というか、答え合わせと、色々なモヤモヤを消化しつつ、という時間込みで楽しめる作品じゃないでしょうか。
少々気になったのが、映画化にあたっての演劇感が抜けきらなかったこと。シームレスといえばそうなんですが、セリフのテンポ感や演出の有り体な感じ含めて、もう少しどうにかできたのかなとは思ったりもします。
とはいえ重くならず、軽妙なままラストまで流れていく時間はこの暑い最中に観る映画としては良いのではないでしょうか。