青春と友情とカルチャーと。
『ビッグ・ウェンズデー』
1962年、カリフォルニア。マット、ジャック、リロイの3人はサーファー仲間。
彼らの夢は水曜日にやってくるという伝説の大波に挑戦することだった。そんな彼らに過酷な現実が襲いかかる。ジャックが徴兵され、ベトナムへ赴くことになったのだ。その後、マットたちの生活も一変する。ジャックも無事に帰ってくるが、3人組は無鉄砲な青春時代の終わりを知る。そして74年、ついに伝説の大波が……。
ダイナミックなサーフィン・シーンとともに、男たちの友情を叙情的に描いた感動作。
最近はサーフィン熱が強く、そうなると映画もそういったものが観たくなりがちです。
まず本作を観て感じたのがとにかくまとまりが良いということ。青春映画的なプロットをシンプルに、そこにサーフィンというカルチャーを自然な形で絡め、ラストにはその両方についてのカタルシスを最高潮にもっていく。その辺のバランスがとにかく見事で、あっという間の2時間でした。
とりわけ、キャラクターの大人になっていく様子がテンポよく描かれていて、若い頃のバカをやっているシーンに始まり、色々な葛藤を経て、それぞれが大人になっていく。そこで冒頭に登場する砂浜にある門のようなもの。これがまたいい役割をはたしていて、最初と最後ではその門を通る意味合いが変わってくる。その辺の描き方も憎い演出でした。
本作で非常に好みだったのが映像の質感。
DVDということもあったんだと思いますが、あのザラついた質感が作品の世界とマッチしていて、とにかく心地良く、その時代にトリップした錯覚を起こさせてくれます。
そして何より友情っていいなって思わせてくれます。今まで観てきた中でも、トップクラスに友情の良さが滲み出ていた気がします。どんなことがあっても友情ほど大事なものはない。
一人でやるサーフィンだからこそ心に響くし、誰もがありがちなことだから伝わってくる。そういった色々なモヤモヤを飲み込んでラストの大波に乗るシーンでは全てのことへのリスペクトを感じました。
ちなみにファッション的にもカルチャーを反映したものになっており、トップスは基本的にシャツ、それにサングラス、色味のチョイスは肌の色とのコントラストが際立つ淡めのものを。ファッション的な推しはジャックでした。
そして予想以上にヒューマン映画としての出来が良かったのが驚きでした。
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