恐怖という概念の在り方。
家長である祖母の死をきっかけに、さまざまな恐怖に見舞われる一家を描いたホラー。
祖母エレンが亡くなったグラハム家。過去のある出来事により、母に対して愛憎交じりの感情を持ってた娘のアニーも、夫、2人の子どもたちとともに淡々と葬儀を執り行った。
祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム家に奇妙な出来事が頻発。最悪な事態に陥った一家は修復不能なまでに崩壊してしまうが、亡くなったエレンの遺品が収められた箱に「私を憎まないで」と書かれたメモが挟まれていた。
「シックス・センス」「リトル・ミス・サンシャイン」のトニ・コレットがアニー役を演じるほか、夫役をガブリエル・バーン、息子役をアレックス・ウルフ、娘役をミリー・シャピロが演じる。
監督、脚本は本作で長編監督デビューを果たしたアリ・アスター。
映画館で観たいと思っていたものの公開が過ぎ、観る機会を完全に失っていた本作ですが、アリアスター監督作品が来年公開されるということもあり、自宅での鑑賞です。
一音一音に意識を集中させたかったこともあり、ヘッドホンで視聴したのですが、これは間違いなくヘッドホンで観るべきだと思いました。
まず脚本が見事でしたし、演出も最恐。何よりも音の表現が素晴らしく、観ている最中に一時も気を抜けない、変な緊張感が漂っていました。
監督自身もインタビューで「みんなが絶対に見たくないもの、聞きたくないものを見せようと思った」と言っていたんですが、本当にその通り。
全てが不吉なのは雰囲気で伝わってくるし、それに抗えない感覚も何となくはわかる。それなのにどこがそれの起点となっているのか、原因がぼんやりとしていてそれが不安を募らせていく。
端的に行ってしまえば祖母が関わっていたカルト集団の因果で・・・ということなんでしょうけど、それだけでは済まされない何かがあり、それが恐怖へと繋がっていく。
驚かすような大きな音やびっくりさせるような映像があるわけでは無い中でここまでキリキリとした恐怖感を植え付けられる映画としては面白い仕上がりだったように思います。
次作も予告が公開されていますが面白そうな気がするので楽しみに待ちたいと思います。
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