恐怖とパニックは似て非なるものというものを体感させられた。
「マーヴェリックス 波に魅せられた男たち」
米カルフォルニア北部に現れる世界最大級の大波「マーべリックス」に挑み、22歳の若さで他界したサーファー、ジェイ・モリアリティの実話を描いたドラマ。
カリフォルニア州サンタクルーズで母親と2人で暮らす高校生ジェイ・モリアリティは、家のすぐ近くの海岸に現れる世界最大級の波「マーべリックス」に乗るため、隣に住む伝説的サーファー、フロスティ・ヘッソンに師事。サーファーとしての精神や技術を磨いていく。
やがてフロスティとの間には父子のような絆が生まれ、幼なじみキムとの恋や、母との心のつながりを通してジェイは成長していく。
ジェイ役は新鋭ジョニー・ウェストン、指導者フロスティにジェラルド・バトラーが扮する。「L.A.コンフィデンシャル」「8 Mile」のカーティス・ハンソンと、「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」「ナルニア国物語 第3章」のマイケル・アプテッドが共同監督。
ドキュメンタリータッチな作品になるのかと思いきや、かなりドラマ的な作り。それは全然嫌な意味では無くて、最高にエモーショナルに仕上がっていた。
「L.A.コンフィデンシャル」「8 Mile」のカーティスハンソン監督ということもあってそんな気もしていたが、共同監督だった為か、良い感じにバランスのとれた作品になっていたと思う。
本作でとにかく圧巻なのが「波」。
海のシーンが半数以上なんじゃないかっていうくらい海や波が登場する。またその描き方が半端じゃなくリアルで圧倒的。
これに対してどう向き合うのか、その辺がドラマ的にしっかりと描かれているし、青春と成長が絶妙なバランスで組み合わさっていく。
そこでの「恐怖とパニックは別物だ」という会話が非常に印象的で、恐怖は正の感情、パニックは死というわかってはいるけど、意外に認識してないところを突かれハッとした。
サーフィンというとチャラいとかそういったイメージが先行する気がするけど、本作を観ればその考えは一変すると思う。
作中でもその一般的な世論の代弁者の様なキャラが登場するけど、最後にはその誤解も和解へ向かう。
何事もそうだと思うけど、偏見や誤解は当事者間で起きる虚像のようなものであって、真に軸があればそんなことはどうでもよくなる。そういう禅的な教えもサーフィンには含まれているということに驚いた。
とにかく波に圧巻し、あっという間に観終わり、サーフィンがしたくなる。そんな映画です。