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カーマイン・ストリート・ギター

音楽が好きでよかった。

「カーマイン・ストリート・ギター」

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『カーマイン・ストリート・ギター』予告編

ニューヨークの建築物の廃材を使ったギター作り続ける老舗ギターショップを追ったドキュメンタリー。

グリニッジ・ビレッジにあるギターショップ「カーマイン・ストリート・ギター」。寡黙なギター職人のリック・ケリー、見習いのシンディ、リックの母親の3人で経営しているこの店では、ニューヨークの建築物の廃材を使いギターを製作している。チェルシー・ホテルやニューヨーク最古のバー・マクソリーズなどの廃材をリックが持ち帰り、ギターとして復活させることで、長年愛されてきた街の歴史がギターの中に生き続ける。

ビル・フリゼール、マーク・リーボウ、チャーリー・セクストンといったギタリスト、映画監督ジム・ジャームッシュも訪れるギターショップのある1週間を追っていく。

監督は「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」など、ポップカルチャーを題材にしたドキュメンタリーを数多く手がけるロン・マン。2018年・第31回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門上映作品。

パソコンもスマホSNSも何もやらない。

今の時代それ自体は不可能に近いかもしれないけど、何か一つを愛し、それのみを追求していく姿勢には敬意しかなかった。

曜日ごとにチャプター分けされているような構成で、日ごとのショップの様子が淡々と描かれていく。

こういったドキュメンタリーものって結構中弛みしたり、飽きてきたりするものだけど、本作はそれが無かった。

音楽が好きで、その真摯な姿勢、登場する面々、流れる音楽、それぞれのギターの描写、逆に観るところや気になるところが多くて、心地良い時間でした。

ドキュメンタリー版の「パターソン」といったところ。

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音楽を通しての繋がり、わかる人同士の関係性なんかは自然とそれぞれの表情や会話から滲み出ていました。

ちょいちょい入る試し弾きのシーンなんかは、それぞれのギターの音色の違いを確実に感じるし、こだわりも出ている。こんな風に音楽と向き合っていけたらな、と自然と思わせてくれる作品で、観終わった後は音楽が好きでよかったと心から思わせてくれます。

それにしても終盤で出てくるマクソリーズの廃材を使ったギターの音は今でも忘れられません。ギター本体の木材が積み重ねた歴史と、それを作る人の歴史、そしてそれを弾く人の歴史。これらが合わさった時、その状況でしか出せない音があるということでしょうか。