人生は不条理の連続なのか。
「凪待ち」
「孤狼の血」の白石和彌監督が、香取慎吾を主演に迎えて描くヒューマンサスペンス。
「クライマーズ・ハイ」の加藤正人が脚本を手がけ、人生につまずき落ちぶれた男の喪失と再生を描く。
無為な毎日を送っていた木野本郁男は、ギャンブルから足を洗い、恋人・亜弓と彼女の娘・美波とともに亜弓の故郷である石巻に移り住むことに。亜弓の父・勝美は末期がんに冒されながらも漁師を続けており、近所に住む小野寺が世話を焼いていた。人懐っこい小野寺に誘われて飲みに出かけた郁男は、泥酔している中学教師・村上と出会う。彼は亜弓の元夫で、美波の父親だった。ある日、美波は亜弓と衝突して家を飛び出す。亜弓は夜になっても帰って来ない美波を心配してパニックに陥り、激しく罵られた郁男は彼女を車から降ろしてひとりで捜すよう突き放す。その夜遅く、亜弓は遺体となって発見され……。
「くちびるに歌を」の恒松祐里が美波、「ナビィの恋」の西田尚美が亜弓、「万引き家族」のリリー・フランキーが小野寺を演じる。
白石監督作品はその独特なテイストが好きで、結構観ているんですが、やはり本作も重かったです。
毎回のことだけど、白石監督作品はヘビー級に重い。それでもその重さは生きていく上で避けて通れないテーマを扱っていると思うし、誰しもが向き合わなくてはいけないものだとも思う。その思わせるテーマ設定のバランスが絶妙で、居心地が悪いんだけど、思い当たる節があってズシっとくる。
主演の香取慎吾の演技も、いつもの底抜けに明るいイメージとは真逆のキャラだったけど、それが逆にハマっていたし、むしろこういう役の方がハマる気がした。
カメラワークや脚本も秀逸で、とにかくどの場面でも予兆を感じさせる作りがうまい。
続けて観るには少々重いかもしれないが、折をみて観返したくなるような普遍的なテーマが詰まった作品だと思う。
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