とにかく初めての体験で最高。
「スパイダーマン スパイダーバース」
時空が歪められたことにより、異なる次元で活躍するスパイダーマンたちが集められた世界を舞台に、主人公の少年マイルスがスパイダーマンとして成長していく姿を描いた長編アニメーション映画。
ニューヨーク・ブルックリンの名門私立校に通う中学生のマイルス・モラレス。実は彼はスパイダーマンでもあるのだが、まだその力をうまくコントロールできずにいた。そんな中、何者かによって時空が歪めらる事態が発生。それにより、全く異なる次元で活躍するさまざまなスパイダーマンたちがマイルスの世界に集まる。そこで長年スパイダーマンとして活躍するピーター・パーカーと出会ったマイルスは、ピーターの指導の下で一人前のスパイダーマンになるための特訓を開始する。
ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマンの3人が監督を務め、「LEGO(R) ムービー」のフィル・ロード&クリストファー・ミラーが製作を担当。第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞。
控えめに言って最高でした。
とにかく今までに観たことない映像体験。これはCGとは思えない、アニメともいえない、新しいジャンル。絶対に映画館でしかも体力がある時に観てほしい作品でした。
個人的にこういったマーベルやDCといったアメコミヒーローものって実写化されるとあまり好きでは無かったんですが、その理由がようやくわかった作品になりました。
そうです、アメコミって漫画的なコマ割や、世界観、画のタッチがあって初めて成り立つ独特な作品群なんです。
コミカルでありつつ、カルチャーを反映させたような世界観にこそ埋没できるわけで、それなしで語れないところにモヤモヤがあった気がします。
そういった意味で本作は完全に新しい形で、しかも最高の世界観で表現されており、本当に楽しめました。
コミックの世界を体験させるために、極限までこだわり抜いた映像についても触れておきたい。
本作はCGアニメーションではあるものの、CGでレンダリングした映像のうえに手描きで作画、着彩を施すという特殊な工程で制作されている。
そのため従来の通常のCGアニメとは全く異なるルックの画面になっている。また、予告を観てもわかる通り、各キャラクターのデザインにもそれぞれのルーツとなるコミックの画風が取り入れられており、アニメーションをさせる際にも、マイルスたちはあえてモーションブラー(※動く被写体を撮影した際に生じるブレ)をかけずにカクカクとした動きをさせている。
ペニー・パーカーはアニメ風のメリハリある動き……と言った風に、キャラごとに異なるアニメーション技法を用いているのだ。
主人公マイルスの履くエアジョーダンを中心としたファッションであったり、グラフィックであったり、インテリア。部屋に飾られたチャンスザラッパーのポスターに現代性を感じたり、流れる音楽のヒップホップを中心とした選曲も素晴らしい。サントラは必聴な気がする。
全13曲のサウンドトラックは、ヒップホップ中心の楽曲になっており、これに参加するアーティストがかなり豪華。
ニッキー・ミナージュやジェイデン・スミス、アミーネ(Amine)などのプラチナ認定されたヒット曲を生み出した人気アーティストから、ポスト・マローン&スウェイ・リー、リル・ウェイン&タイ・ダラー・サインといった旬アーティストによるコラボ、そして大御所DJキャリルといった面々に交じって、注目の新鋭ラッパーのヴィンス・ステープルズやスキー・マスク・ザ・スランプ・ゴッドなど、ヒップホップシーンの良いところを少しずつ摘まみ出したようなアルバムになっている。
飛び回る街並みのネオンの色味、躍動感溢れるスイング、とにかく浸っていたいと思うその世界観に圧倒されます。
テンポも最高で、情報量も多い、それ故に元気な時に観たほうが楽しめる映画かと思います。
こう言ってしまうと中身が無いように思われますが、そんなことは全然なく、本編で別次元のピーターBパーカーとメンター的な関係で観られる、正義と生きることへの問いであったり、実社会との葛藤。そういった普遍的なヒーローもののテイストも残しており、映像的、ストーリ的、両側面から楽しめます。
別の視点でいうと、登場する別次元のスパイダーマンのキャラが最高で、とにかく笑えます。
凡人な個人は何にでもなる可能性を持っているし、一人だと感じる時も広義の意味では決して一人では無い。
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」
最高のフレーズと共にアニメーション映画の新たなる夜明けを祝いたい。
余談ですが、本作のアート本は表紙から格好よくぜひ欲しいところです。
アート・オブ・スパイダーマン:スパイダーバース (SPACE SHOWER BOOKS)
- 作者: ラミン・ザヘッド
- 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
- 発売日: 2019/03/01
- メディア: 大型本
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