人生はそもそもパルプフィクション。
アメリカの低級犯罪小説であるパルプマガジン的なストーリーをコンセプトに殺し屋たちの話を3つの物語が交錯するように語られるコメディあり、ヴァイオレンスありのドラマ。
監督・脚本は「レザボア・ドッグス」で監督デビューし、「トゥルー・ロマンス」やオリヴァー・ストーンの「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の原案を手がけているクエンティン・タランティーノ。
製作は「レザボア・ドッグス」「キリング・ゾーイ」などのローレンス・ベンダー。
撮影はポーランド出身で「レザボア・ドッグス」でアメリカ映画界に進出したアンジェイ・セクラ。
編集は「天と地」「レザボア・ドッグス」のサリー・メンケ。
美術は「エル・ノルテ 約束の地」でアカデミー賞にノミネートされ、同じく「レザボア・ドッグス」からのスタッフであるデイヴィッド・ワスコ。
主演は「キャリー」「サタデー・ナイト・フィーバー」「ベイビー・トーク」シリーズのジョン・トラヴォルタ、「ダイ・ハード」「虚栄のかがり火」のブルース・ウィリス、そして「危険な関係」「ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女」「カウガール・ブルース」のユマ・サーマン。ほかに、「星の王子ニューヨークに行く」「モ'・ベター・ブルース」「ジュラシック・パーク」のサミュエル・L・ジャクソン、「コックと泥棒、その妻と愛人」「ゴッホ」「レザボア・ドックス」のティム・ロス、そして「ミーン・ストリート」「アリスの恋」「レザボア・ドッグス」「ピアノ・レッスン」「バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト」などに出演しているベテラン、ハーヴェイ・カイテル。
ホント無意味にというか「意味を見出すことへのカウンターカルチャー」という言葉が今の時代にはぴったりなんじゃないでしょうか。
自分の周りで起きていることって、案外他の人の周りでも起きていることであったり、自分では意味があると思っていたことが、他の人にとってはどうでもよかったり、真剣に考えていることが、意外に適当だったり。
人生の中で起きることは噛み合っているようで噛み合っておらず、実はくだらないことの集積が人生なんじゃないか。そんな一部始終を本作に観た気がする。
今の映画って含み表現や演出、何でもかんでも小洒落た感じに仕上げ、謎めいた感じを漂わせればオシャレ映画の完成、みたいなものが増えてきている気がして、本作のガツンとくる映画本来の深みみたいなものが久しく、懐かしく思えるほどでした。
午前10時の映画祭というもので、映画館で観れるとあって行ってきました。
何回見たかわからないんですが、タランティーノの映画はとにかく無駄話が多い。本作も多分に漏れずですが、それが良い意味でくだらなく、本編に関係しないような他愛もない話をしていたりするところが意外に好き。正直眠くなることもあるし、考えているうちにどうでもよくなることもある、それも含めて結構好きなんですよね、無駄話。
今でこそ珍しくない時間軸をずらした撮影、演出。本作がその先駆けと言っても過言では無いはずだけど、今観ても面白い構造をしているなと思った。
全く関係ないはずのことも意外に関係していたり、関係しているように感じる既視感であったりと、そのバランスが絶妙に心地良く、テンポも良い。
一方で、難しく考えないとわからないようなことは一切なく、むしろ雑で、くだらなく、荒々しい、それでいてカッコいいところが本作の魅力な感じがする。
そう、とにかくカッコいいんです。それもダサカッコいい。気取ったカッコ良さなんてそこらへんに転がっているから放っておけばいいんですが、本質的なカッコ良さ、それが本作にはあって、「何が?」と言われると説明が難しいところが憎いんです。
強いて言うなら音楽、ファッション、美術、これらはタランティーノの十八番ですが、それだけじゃない映画全体を漂う世界観みたいなものにやられるんです。まあこれは観て体験してもらうのが一番かと思います。
個人的にはミアとヴィンセントがダンスを踊るシーンなんて最高に上がりました。それ以外にもジュールズが学生をいびるシーンもですし、地下での・・・
とにかく挙げるとキリが無いくらい見どころたっぷりです。
映画を観た後で語り合う楽しみ、映画内での世界観への憧れ、そういった自分の原点に近いところを改めて感じられて良かった気がします。
余談ですがこの午前10時の映画祭今年がラストになるみたいでラインナップが先日発表されましたが観たい作品が目白押しです。こんな機会が無いと映画館で観ることが出来ない作品ばかりなので行けるところは是非映画館で。