考えるな、感じろ。
「ボヘミアンラプソディ」
世界的人気ロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45歳の若さでこの世を去ったフレディ・マーキュリーを描いた伝記ドラマ。
クイーンの現メンバーであるブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を手がけ、劇中の楽曲には主にフレディ自身の歌声を使用。
「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といった名曲誕生の瞬間や、20世紀最大のチャリティコンサート「ライブ・エイド」での圧巻のパフォーマンスといった音楽史に残る伝説の数々を再現するとともに、華やかな活躍の裏にあった知られざるストーリーを描き出していく。
「ナイト ミュージアム」のラミ・マレックがフレディを熱演し、フレディの恋人メアリー・オースティンを「シング・ストリート 未来へのうた」のルーシー・ボーイントンが演じる。監督は「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー。
お台場の爆音映画祭で観てきました。
結論から言うと最高でした。
久々に満席の会場が一体となり、興奮を共有したひと時だった様に思います。
やっぱり大勢が一体となり何かを共有する。この事に人は感動し高揚感を抱くんだなあと改めて思わされました。
とにかく本作は映画というよりクイーンというバンドを追体験するという点に魅力があって、その現実を否応なく見せられます。それは良い部分も悪い部分も含めてという意味で。
主演のラミマレックはフレディに激似だし、眼で語るのが上手すぎる。視線一発で孤独感や悲壮感、希望、喜び、そういった表現力を強く感じました。ちなみにその他のメンバーも押さえるところを押さえており、良い配役でした。
時代性もあると思いますが、今よりも確実に根深い既成概念に抗う手段としての音楽。冒頭にアタッシュケースにマイクのみが入っておりそれを俯瞰して撮るショットなんかはボーカリストとは、ということを端的に表現していて、ただただカッコ良く映ります。
それ以外にも性に対する偏見等、生きにくいからこそ思考し行動する。今の方が確実に何でも簡単にできるし、排除もされにくい。なのになんだろう、この浅いと思ってしまう感覚は。
モノや情報に恵まれ、生活に恵まれ、環境に恵まれ、そういう環境からは決して生まれないであろう熱量のようなものを当時のロックには感じられます。
本作で孤独を強く感じているフレディの様な側面は現代でも誰しもが少なからず抱いている感覚ではあると思う。でも、大きな違いは何か行動を起こしたのかという事。
何かを成し遂げた人が偉大なんじゃなくて、成し遂げる気概を持って行動した人が偉大になれるんだと感じた。
バンドとして最初は小さい箱から演奏し、最後には音楽の幅もバンドの箔も箱の大きさも全てが大きくなって帰ってくる。それは結果としての産物なんだと思わされる。
ラスト21分間の演奏は本作のカタルシス全てが詰まった圧巻のシーン。観客を舐める様なカメラワークなど、本当に鳥肌ものだし、どれだけ孤独を感じている人も生きている上で本当の孤独など無いと言われている気がして胸が熱くなった。
最近ロックが衰退気味なことは百も承知だけど、それでも好きでよかったと思わせる何かがロックにはあるということを再認識させてくれた作品だった様に思う。
退屈を何より嫌い、楽しみを追求する。今こそフレディの様な姿勢を見直す時なのかもしれない。
余談ですが、これは映画館で観ないと良さが半減どころではすまない作品なので気になる方は今のうちに。そして音楽を、ロックを愛する全ての人に。
ちなみにライブ盤ならこれがおススメ。
ライヴ・アット・ウェンブリー・スタジアム<25周年記念スタンダード・エディション> [DVD]
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