自分の人生を生きれるかどうかは自分次第。
「スカーフェイス」
1980年、キューバからアメリカ・マイアミへ渡ったトニーはコカインの取り引きに携わる。その働きが認められたトニーはマフィア組織の配下に収まった後、ボスを殺害。無一文の身からマイアミ暗黒街の頂点へと上りつめ、さらにはボスの愛人エルビラも手に入れることに。しかしその栄光は長く続かなかった……。
ハワード・ホークス監督作品「暗黒街の顔役」の現代版リメイク。主演アル・パチーノの鬼気迫る演技、そしてバイオレンス描写も凄まじいアクション・ドラマ。
とにかくやること成すことハチャメチャです。ただし芯だけは通っている。あくまでも本人が考える芯ですけどね。
最近はSNSやスマホなどで触れる世界は拡張している一方で、実際に感じるリアリティは減っている気がします。
その減っているリアリティのみで生きていく。それが本作の醍醐味に感じました。この映画はヒップホップにも多大な影響を与えていて、その生き様自体がヒップホップ。つまりは成り上がりです。
成り上がりっていうと聞こえは悪いかもしれませんが、要は自分自身で這い上がった人が成り上がり。それに対して悪いイメージを持つこと自体が卑屈な考えで利己的な気がするし、人のことをとやかく言っている暇があるなら自分で何でもやってみろ。やらずに文句ばかり言っている人が多すぎる気がします。
ファッションも当時のマフィア然とした装いなんですが、それとマイアミのカラフルな街並みや景色が実にハマっていて良い。それと対照的な物騒さも醍醐味ですが。つまりは光あるところに闇もありといったところでしょうか。
トニーの生き方は一般的には完全に外れた生き方かもしれませんが、生きるのは自分自身だし、そのスタイルに惹かれちゃうのも事実なんです。
嘘は言わないし、他人に媚も売らない、それもかなり徹底していて、個人的にあのチェンソーのシーンでさえ怯まない精神には驚愕でした。
誰かの前では態度を変えるであるとか、自分に嘘をついてやり過ごすだとか、社会的な建前ははいいけど、悪く言えばそれって自分じゃなくてもいいよね、といった人生を生きることに意味はあるのか。
社会的に善とか悪とかって当然あると思うけど、善に見える悪ほど最悪なものは無い気がします。
考えたり、創造したり、行動したりしないで生きているのは「生きているんじゃなくて、死んでいないだけ」なのかもしれません。
ちなみにこれは「大和(カリフォルニア)」でのサクラのセリフです。
やはりアウトローは独自のパンチラインを持っているものなのかもしれません。
それにしてもDVDのパッケージの方が断トツに良いのが腑に落ちませんが。