昨年末に本年度ベストアルバムと申し上げたspoon「They Want My Soul」をご紹介。
彼らの有名なアルバムとしては「Ga Ga Ga Ga Ga」「Transference」とありますが、本作が最もまとまっており、spoonというバンドを表現している気がします。
最近、私個人の好きなアーティストの傾向として、「心地よいノイズ」というのが御座いまして、彼らも多分に漏れずその要素を満たしております。
そのノイズってどんな音よ、と思われるかと思います。具体的に表現するのは難しいのですが、疲れている時であるとか、夜遅い時間、朝方など、ノイジーなサウンドを聴きたくない時があるかと思います。そんな時でさえ、聴きたいと思わせるノイズサウンド、それが私の言う「心地よいノイズ」です。
心地よい浮遊感、ハイでもローでもなく、一定の間隔で浮遊し続けられる楽曲群。彼らの特徴として、音の位置関係を緻密に計算している点もその要素の一つかもしれません。心地よい位置に音があるという感じ。これは聴いた方にしかわからない感覚かもしれませんが、的を得ているかと思います。
加えるとすると、サウンドの作り込みが半端ないといった点も。ここまで徹底して作り上げられたサウンドにも拘らずタイムレスな感覚を抱かさせるのは不思議でならない点ですね。
本作では曲間に間を与えず、全体を通してザラついた音色も顕著に出ており、その辺もツボにハマっております。
1曲目の打ち込みから入る部分で、このアルバムに引き込まれ、2曲目、3曲目と次第に飲み込まれる感覚。前作以前でもそうだが、音の吸引力が半端ないです。本作では、アルバムの曲構成も素晴らしく、最後まで飽きさせない。むしろ曲を追うごとに引き込まれていく印象。捨て曲無しとはこのことか、と痛感させられるアルバム。
気付けばジャケットデザインがゴーンガールのパンフと似ている気が・・・
とにかくおススメです。