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探幽訪真:深く、自由に、偏りなく潜る

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世界の終わりは遠くにない――岡崎京子『エンド・オブ・ザ・ワールド』を読む

岡崎京子『エンド・オブ・ザ・ワールド』を収録5編から読み解く。殺人、吸血鬼、夏の記憶、破滅する青春、家族の愛。POPな筆致の奥に潜む不穏さと、日常を透徹して見つめる岡崎京子ならではの視線を辿る。

三島由紀夫『真夏の死』、すべてを語らない短編の凄みについて

三島由紀夫『真夏の死』を再読。表題作「真夏の死」から「春子」「クロスワード・パズル」「花火」まで、眩い生命と死、そして鮮烈な結末の奥に残される不穏な余白を、夏という感覚から読み直す。

『武道館』、アイドルという「仮面」の向こうにある生身の人間

朝井リョウ『武道館』を読んで感じた、アイドルという存在の危うさと美しさ。『推し、燃ゆ』との対比から、推す側と推される側、憧れと人間らしさの関係を考える。

なぜ『カンガルー日和』の軽やかさは、私たちの日常を静かに侵食するのか

初期の短編集『カンガルー日和』に漂う、軽やかでありながら不穏な日常のリアリティ。佐々木マキの装画や独特の村上文体を辿りながら、ありふれた会話や気付きの背後に潜む「本心の断片」を紐解く、カルチャー批評的読書エッセイ。

『Tシャツが乾くまで』から辿る『愛の渇き』——幸福とは絶望を養分とする理の深遠

ドラマ『Tシャツが乾くまで』劇中をきっかけに紐解く三島由紀夫『愛の渇き』。25歳の三島が描いた、幸福を希求するほどに深まる人間の業と美しき文体。ドラマとの深層での響き合いとともに、作品が宿す「恐ろしき魔力」を考察する。

理屈ではない圧倒的信頼の終着点。なぜ『推し燃ゆ』はままならない現代の「生き残り方」を提示できるのか

宇佐見りん『推し燃ゆ』が描く、単なるファンを超えた「推す」という現代の生々しい宗教的没頭。FRUITS ZIPPERに触れた個人の視点から、現実と虚構の境界線、そして終わりが来た後の地続きの日常の行方を、独自のカルチャー批評として綴ります。

傷つかないのになぜ怖い?『非属の才能』が暴く「右向け右」の異常心理

なぜ私たちは記号的な同調に走り、はみ出し者を恐れてしまうのか。山田玲司の『非属の才能』を補助線に、孤独な孤立ではなく、己の芯を保ったまま他者と分かち合う「協調」への転換を考える、人間関係に疲れた人に届けたい思索の記録。

衝動が消えたその先へ。『走ることについて語るときに僕の語ること』に見る、意味を手放す生き方

『走ることについて語るときに僕の語ること』 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫) 作者:村上春樹 文藝春秋 Amazon 走ることについて語りつつ、小説家としてのありよう、創作の秘密、そして「彼自身」を初めて説き明かした画期的なメモワール…

善悪を超えた生存戦略。スパイ小説より凄絶な『モサドファイル』が暴く国家の「嘘」と「真実」

『モサドファイル』 モサド・ファイル――イスラエル最強スパイ列伝 (ハヤカワ文庫 NF 417) 作者:マイケル・バー゠ゾウハー&ニシム・ミシャル 早川書房 Amazon 世界最強と謳われるイスラエルの対外情報機関「モサド」。謎に包まれたその実態をスパイ小説の巨匠…

『砂の都』を読むと、“満たされること”の孤独について考えてしまう

『砂の都』 砂の都 (モーニングコミックス) 作者:町田洋 講談社 Amazon 「すぐに忘れてしまうことと、どうしても忘れられないことの違いってなんだろう」。これは不思議な砂漠の孤島に生きる人々の「記憶」と「建物」を巡る物語。漫画界大注目の俊英・町田洋…

『オレのクラシック』レビュー|クラシック音楽の偉さを剥がす快著

以前からクラシックを聴く時期があったのですが、なんか最近はわりと聴く機会が増え、ポップスよりも聴いている時間が多い時も。 そんな折にディグったのがこちら。 『オレのクラシック』 オレのクラシック 作者:許光俊 青弓社 Amazon 「クラシック音楽は娯…

『アウターガンダム』はなぜ今読むべきか──AIが暴く一年戦争の裏側

『アウターガンダム (電撃コミックス)』 アウターガンダム (電撃コミックス) 作者:松浦 まさふみ KADOKAWA Amazon 1年戦争を舞台に繰り広げられる、隠されたもうひとつの「ガンダム」の物語。人の手によらず、AIによって機動する封印された“ゼファーガンダ…

『服従』が突きつける逆説:知識は救いにならないのか?

『服従』 服従 (河出文庫) 作者:ミシェル・ウエルベック 河出書房新社 Amazon 2022年フランス大統領選で同時多発テロ発生。。極右・国民戦線マリーヌ・ル・ペンと穏健イスラーム党党首が決戦に挑む。テロと移民にあえぐ国家を舞台に個人と自由の果てを描いた…

『氷』はなぜ不安なのに心地いいのか──終末と欲望の読書体験

『氷』 氷 (ちくま文庫 か 67-1) 作者:アンナ カヴァン 筑摩書房 Amazon 「見たこともないような美しく冷酷なものに、からめとられる」 ――川上弘美(解説) 異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつ…

『四十九日のお終いに』余白でつながる人生というコマ割り

『四十九日のお終いに』 四十九日のお終いに 田沼朝作品集 (HARTA COMIX) 作者:田沼 朝 KADOKAWA Amazon 大事なものはいつも傍にあった。 厳格な父に縛られ生きてきた青年・石川。父の死後、どこか様子がおかしくなってーー。男性ふたりの特別な友情を描く表…

『この人の閾』|日常の微細な違和感を文学に変える保坂和志の視線

『この人の閾』 この人の閾 (新潮文庫 ほ 11-2) 作者:保坂 和志 新潮社 Amazon この人の閾(著:保坂和志)は、表題作を含む複数の短編で構成された作品集で、語り手「ぼく」と周囲の人々との何気ない日常を通して、人と人の距離や存在の感覚を描いた文学作…

スパイ小説でも歴史小説でもない──『HHhH: プラハ、1942年』が読者を物語の共犯者にする理由

『HHhH: プラハ、1942年』 HHhH プラハ、1942年 (創元文芸文庫) 作者:ローラン・ビネ 東京創元社 Amazon HHhHとは「ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」を意味する符丁である。 〈第三帝国で最も危険な男〉とも〈金髪の野獣〉とも呼ばれた、ユダ…

なぜ“顔”はここまで人を縛るのか──50年後も刺さる『他人の顔』

『他人の顔』 液体空気の爆発で受けた顔一面の蛭のようなケロイド瘢痕によって自分の顔を喪失してしまった男……失われた妻の愛をとりもどすために“他人の顔"をプラスチック製の仮面に仕立てて、妻を誘惑する男の自己回復のあがき……。 特異な着想の中に執拗な…

決勝で“問題0文字”の正解は可能なのか?『君のクイズ』が描く究極の推理

『君のクイズ』 君のクイズ (朝日文庫) 作者:小川 哲 朝日新聞出版 Amazon クイズ番組の決勝で、僕の対戦相手は1文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たす。彼はなぜ正答できたのか? 推理作家協会賞受賞&本屋大賞6位、圧巻のエンターテイン…

『飢餓同盟』レビュー:滑稽で冷酷な“権力の寓話”は今なお私たちを映す

『飢餓同盟』 飢餓同盟(新潮文庫) 作者:安部公房 新潮社 Amazon 権力への羨望が、人を町を狂わせる。地方都市を舞台に、人間の滑稽なまでの生態に迫った傑作。 眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たち…

『砂の女』──「反復」と「希望」が同居する、安部公房の不条理の底で

『砂の女』 砂の女(新潮文庫) 作者:安部公房 新潮社 Amazon 昆虫採集で砂丘を訪れた教師の「男」が、集落に伝わる風習によって砂穴の底にある家に閉じ込められる。その家には一人の「女」が住んでおり、男は女とともに、絶えず流れ込む砂を掻き出し続ける…

“個の消滅”を実験した男――安部公房『箱男』と現代社会の奇妙な一致

『箱男』 全国各地には、かなりの数の箱男が身をひそめている。どうやら世間は箱男について、口をつぐんだままにしておくつもりらしい――。 ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て…

友だち以上、孤独未満―『友だち幻想』で考える本当のつながり

『友だち幻想』 全国1000人以上の先生が選んだ、中高生にいま一番読んでほしい本「キミに贈る本(キミ本)大賞」(読売中高生新聞主催)第1位! 「みんな仲良く」という重圧に苦しんでいる人へ。人付き合いのルールを知り少しの作法を身に付けるだけで、複雑な…

『ハックルベリィ・フィンの冒険』から『ジェイムズ』へ続く文学の系譜

『ハックルベリィ・フィンの冒険』 かつてヘミングウェイは言った。「アメリカ近代文学の散文のスタイルは、ハックルベリイ・フィンという一冊の書に源を発した」子供だけでなく、大人にも愛読され続ける、アメリカ文学の傑作。 トムとの冒険で大金持になっ…

『ウムヴェルト』に宿る五十嵐大介の“環世界”──精緻な短編集の神秘を読む

『ウムヴェルト』 『ディザインズ』『リトル・フォレスト』『海獣の子供』などで絶対的な支持を獲得している五十嵐大介の作品集、待望の登場! 2004年から2014年にかけて描かれた短編は、「この世界のどこかにいる、かもしれない」──そんな「未確認生物」を…

『悪いものが、来ませんように』に潜む日常の恐怖と家族の歪み

『悪いものが、来ませんように』 緊迫感あふれる二人の関係から目を逸らせない。――作家 小野不由美 助産院の事務に勤めながら、紗英は自身の不妊と夫の浮気に悩んでいた。誰にも相談できない彼女の唯一の心の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だ…

『儚い羊たちの祝宴』暗黒童話のような優美で残酷な五つの事件

『儚い羊たちの祝宴』 夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。 翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つ…

『13階段』で試されるのは犯人探しじゃない――あなたの“信じる力”だ

『13階段』 宮部みゆき氏絶賛!!!手強い商売仇を送り出してしまったものです。――(本書解説より) 犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「…

『しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術』が仕掛けたマジシャン作家の罠とは?

『しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 』 驚愕! こんなことが出来るとは。マジシャンでもある著者が企んだ、「紙の本ならでは」の仕掛け。 未読の人には、絶対に本書のトリックを明かさないで下さい。 二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体〝惟…

『屍人荘の殺人』は綾辻×ロメロのハイブリッドだ!

『屍人荘の殺人』 神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態…