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妖怪が映す現実の歪み──『ようきなやつら』の魅力

『ようきなやつら』 【むかし、どこかに半分置き忘れてきたお化けの魂。ここにあったのか。 京極夏彦】 WEB上で話題騒然の岡田索雲妖怪読切シリーズ、待望の単行本化!! 描き下ろしの表題作『ようきなやつら』40P収録!!怪異なのは、この物語か。それとも…

『くしゃみ 浦沢直樹短編集』の洒落た装丁とシュールな短編の魅力

『くしゃみ 浦沢直樹短編集 (ビッグコミックススペシャル)』 装丁がどうなのかということも本には重要な要素ですよね。 本作のマットな質感とエンボス加工が施された表紙に、女の子のくしゃみ寸前の画。 浦沢直樹というとどうしても子供の存在は欠かせないわ…

『夢印』で描かれるルーヴル美術館と浦沢直樹の異色の世界

『夢印 (ビッグコミックススペシャル) 』 浦沢直樹×ルーヴル美術館プロジェクト!! ある一つの家族。 ある一枚の絵。 ある一人の謎の男。 多大な借金を負った父と娘が、藁をもつかむ気持ちで訪れた古い館。看板には“仏研”と書かれている……館内の暗がりを親子…

谷崎潤一郎の『文章読本』が教える、簡素で美しい文の哲学

『文章読本 (中公文庫 た 30-28)』 正しく文学作品を鑑賞し、美しい文章を書こうと願うすべての人の必読書。文章入門としてだけでなく文豪の豊かな経験談でもある。〈解説〉吉行淳之介 文章読本 (中公文庫 た 30-28) 作者:谷崎 潤一郎 中央公論新社 Amazon …

「書物に毒された状態」とは?筒井康隆の『短篇小説講義』を読み解く

『短篇小説講義(岩波新書)』 「短篇小説を書こうとする者は、自分の中に浸みこんでいる古臭い、常識的な作法をむしろ意識して捨てなければならない」。 その言葉どおりに数かずの話題作を生み出してきた作家が、ディケンズら先駆者の名作を読み解き、黎明…

コミカルでシュール、そして爽やかに──『夢中さ君に』の妙味

『夢中さ君に』 夢中さ、きみに。 (ビームコミックス) 作者:和山 やま KADOKAWA Amazon 夢中さ、きみに。 (ビームコミックス) [ 和山 やま ]価格:770円(税込、送料無料) (2024/11/28時点) 楽天で購入 異性とか同性とかそういうことを抜きにしたような清…

『美しい星』――三島由紀夫が描くSFと純文学の絶妙な融合

『美しい星』 純文学とは荒唐無稽とすら思われる題材を扱い、そこにすら三島だからこその文学性を付与する力量が素晴らしい。 そもそも硬質で純然たる文学作品を書こうと思う人物がある種の対局的な存在にあるようなファンタジーやSF作品を描くというのはど…

『水は海に向かって流れる』が描く恋愛と人生の流れ、その深遠な魅力

『水は海に向かって流れる』 水は海に向かって流れる(1) (週刊少年マガジンコミックス) 作者:田島列島 講談社 Amazon やはり田島列島さんの作品は言葉のパンチラインが響きますね。 以前読んで以来、わりとほとんどの作品を読んでいると思うんですが、本…

心が揺れる瞬間とは?『生きる理由を探してる人へ』の核心

『生きる理由を探してる人へ (角川新書) 』 生きる理由を探してる人へ (角川新書) 作者:大谷 ノブ彦,平野 啓一郎 KADOKAWA Amazon 意外に思っている人が多いと感じる、”生きる理由”とは何なのかということ。 理由なんか無いということはわかっているし、幼少…

文学の深淵へ:三島由紀夫短編の詩的表現力とシュールな世界観『花ざかりの森・憂国』

三島の短編は初めて読んだんですが、これはこれで色々な試みが見られて面白かったですね。 『花ざかりの森・憂国』 花ざかりの森・憂国 (新潮文庫) 作者:三島 由紀夫 新潮社 Amazon 好き嫌いも当然出てきますし、書かれた年代なんかによって、左右されるとこ…

『恋愛とは何か』愛のとろ火に秘められた真実

『恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために (角川文庫)』 恋愛とは何か 初めて人を愛する日のために (角川文庫) 作者:遠藤 周作 KADOKAWA Amazon 初めて人を愛する貴女へ。 愛についてのエッセイ・方法論は数多い。本書は豊かな恋愛経験と古今東西の文学に…

命の売買は何を意味する?三島由紀夫の挑発作『命売ります』

『命売ります』 命売ります (ちくま文庫) 作者:三島 由紀夫 筑摩書房 Amazon 「命売ります。お好きな目的にお使い下さい。当方、二十七歳男子。秘密は一切守り、決して迷惑はおかけしません」 目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、…

難解ながらも心地よい『日蝕』の世界に浸る理由

『日蝕』 日蝕・一月物語(新潮文庫) 作者:平野 啓一郎 新潮社 Amazon 錬金術の秘蹟、金色に輝く両性具有者(アンドロギュノス)、崩れゆく中世キリスト教世界を貫く異界の光……。華麗な筆致と壮大な文学的探求で、芥川賞を当時最年少受賞した衝撃のデビュー作…

異色の芥川賞作!『コンビニ人間』が現代社会に問いかける「生きる意味」

芥川賞というと難解なイメージだったんですが、近年はそういった作品ばかりでもなくなってきているんでしょうね。 『コンビニ人間』 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田 沙耶香 文藝春秋 Amazon 「普通」とは何か? 現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受…

『仮面の告白』に見る、矛盾を抱える人間の美しき苦悩

芸術性を帯びた文章に硬質な文体、でも、書かれているのはあくまでも私的な事柄であって、吐露にも似た個人的で独白地味たもの。 なのに何故こんなに惹かれ魅力的な文章だと思ってしまうのか。 『仮面の告白』 仮面の告白 (新潮文庫) 作者:三島 由紀夫 新潮…

『夏子の冒険』読後感爽快!人生を謳歌する冒険譚の魅力

ガールズアドベンチャーというのもまた面白い。 『夏子の冒険』 夏子の冒険 (角川文庫 み 2-4) 作者:三島 由紀夫 KADOKAWA Amazon 破天荒であり、憧れともとれるような生き様の投影。 本作における夏子という主人公にはそうした三島自身のある種の羨望に似た…

『音楽』三島由紀夫が描く内面の旋律

『音楽』 音楽 (新潮文庫) 作者:三島 由紀夫 新潮社 Amazon 発刊されたのが昭和45年。 当時の状況がここまで現代的に見えるのは、先見の明があったからなのか、はたまた過去から現代はさして変わってないからなのか。 ともあれ、三島作品でこうした現代的な…

SNS時代に考える―『潮騒』で見つける情報過多に翻弄されない生き方

三島由紀夫は何故か惹かれる部分がある作家なんですが、この潮騒は三島への入口としては非常に分かりやすいのかなと。 『潮騒』 潮騒 (新潮文庫) 作者:三島 由紀夫 新潮社 Amazon 自分自身も何作品かを読んでいる程度なんですが、三島作品、ひいては純文学と…

又吉直樹が語る『夜を乗り越える』読書の醍醐味

そもそもお笑い芸人の頃から好きだったのですが、独特な感性、シュールさ、物事の視点何かが変わっている人って好きなんですよね。 そして今何故か又吉さん関連のものをYouTubeなどで見漁っているところではあるんですが、本作もそんな折に手にした一冊。 『…

人生は将棋に近い!羽生善治の考える決断する力を感じる一冊『決断力』

最近はなんとなく将棋がアツい。 小学生~中学生くらいだったですかね。当時、なぜか将棋に興味があって、将棋教室なんかにも通っていたんですよ。 でもそこからはめっきりやっておらず。でも、漫画などはちょいちょい見ていて、その流れからまた興味が出て…

【文豪ボストン・テラン】春休みに読んだ『神は銃弾』がヤバすぎる! 心抉るダークノワールの世界へようこそ

春休み、以前から気になり買っていたけど手をつけられていなかった小説を読もうと思い、手にしたのがこちら。 神は銃弾 (文春文庫) 作者:ボストン・テラン 文藝春秋 Amazon まさかこんなに食らうとは思いもしませんでした。 本にしろ映画にしろ音楽にしろ、…

実体の無さはすべてに存在していることなのかも『ある男』

どうしても原作から読みたい作品ってあると思うんですよ。それは漫画でも小説でも。その意味で平野さんの作品は全てそういうところがあるなと。 この作品もあらすじからして興味深く、目の付け所というか、思考の巡らせ方がとにかく好み。 ある男 (文春文庫 …

『青春の光と影』―『ストロボライト』が浮かび上がらせる、時間の美しさに魅了される

「『青春の光と影』―『ストロボライト』が浮かび上がらせる、時間の美しさに魅了される」 ストロボライト 作者:青山 景 太田出版 Amazon 君が好きになったのは、――本当に<私>? 気鋭・青山景、待望の最新作 だから書かなくてはならない。 知るために。 夜…

【SF漫画】幸せの価値観を問いかけるSF作品『ロボサピエンス前史』

この作品以前どこかで紹介されていて気になっていた漫画の一つだったんですよね。 「【SF漫画】幸せの価値観を問いかけるSF作品『ロボサピエンス前史』」 未来。ヒトと同じようにロボットが闊歩する世界で、ヒトは、ロボットは、どう生きるのか。 手塚治虫文…

水のような感動が広がる物語: 『海、のち晴れ』が描く心の波

個人的に水が瑞々しい映画や本っていうのは前から好きで、この作品も表紙に惹かれて手に取った一冊。 「水のような感動が広がる物語: 『海、のち晴れ』が描く心の波」 海、のち晴れ 作者:高見 奈緒 イースト・プレス Amazon 家にも学校にも居場所がない“とよ…

美味しさと奇妙さが交錯する不思議な饗宴!『カモフラージュ』で見つかる異世界の魅力とは?

アイドル云々じゃなく、単に文学が好きなんだなと感じられる。そんな短編の集まり。 「美味しさと奇妙さが交錯する不思議な饗宴!『カモフラージュ』で見つかる異世界の魅力とは?」 カモフラージュ (集英社文庫) 作者:松井 玲奈 集英社 Amazon いつもより荷…

独自のテイストが光る!羽海野チカの『スピカ』で広がる希望の世界

羽海野作品の中で個人的に一番馴染み深いのがハチクロなわけですが、なんとなく彼女の作品が読みたくなり、まずこの短編を。 「独自のテイストが光る!羽海野チカの『スピカ』で広がる希望の世界」 スピカ ~羽海野チカ初期短編集~ (花とゆめコミックス) 作…

『出版禁止』の読後感: ミスリードと考察の楽しみ

「『出版禁止』の読後感: ミスリードと考察の楽しみ」 出版禁止(新潮文庫) 禁止シリーズ 作者:長江俊和 新潮社 Amazon 放送禁止といえばちょっとした話題になった深夜ドキュメンタリーだと思うんですが、これが当時なかなかに衝撃的だったんですよね。 一…

奇想天外、爆笑、からの予想外の収束感『外天楼』

「奇想天外、爆笑、からの予想外の収束感『外天楼』」 外天楼 (講談社コミックス) 作者:石黒正数 講談社 Amazon 外天楼と呼ばれる建物にまつわるヘンな人々。 エロ本を探す少年がいて、宇宙刑事がいて、ロボットがいて、殺人事件が起こって……? 謎を秘めた姉…

未完の武士道から感じる古き良きメンタリティ:『死ぬことと見つけたり』

「未完の武士道から感じる古き良きメンタリティ:『死ぬことと見つけたり』」 死ぬことと見つけたり(上)(新潮文庫) 作者:隆慶一郎 新潮社 Amazon 死ぬことと見つけたり(上下)合本版(新潮文庫) 作者:隆慶一郎 新潮社 Amazon 死ぬことと見つけたり(下…